地球温暖化の影響で自然災害の姿が変わりつつある昨今。災害が起きるたびに「予想外」「前代未聞」といった言葉が並ぶのは米国でも同様です。今回はまだまだハリケーンシーズンの続く米国から、その災害対策について主に政策立案や法整備の面からみていきます。

ニューヨークブルックリン在住のライター金子毎子さんの報告です。


ハリケーンの大規模化と気候変動は関係ない?

ハリケーン「イルマ」が近づき、母と兄に従って避難所へ行く3歳の女の子=2017年9月9日米国フロリダ州(写真:ロイター/アフロ)

米国がひとつ日本と大きく異なる点は、地球温暖化が自然現象などに直接影響を与えているか否かを議論する余地が、まだ(少なくとも政治的には)あることでしょう。

米国史上最大級のハリケーン「イルマ」がフロリダ州に接近していた今月9日、スコット・プルーイット環境保護庁長官は「今は気候変動を議論している場合ではない」と発言。その真意は「それよりも大事なことがある」にあったのでしょうが、彼は(排出ガスといった)人間の活動が気候変動と関係しているという考え方に否定的なことで知られていることから、この発言にも様々な反響がありました。

米国では確実に極端になりつつある自然現象をめぐり、多分に政治的な信条・思惑が絡み(まくり)なのは、今に始まったことではありませんが……。

法律と対応計画で政府間の協力体制を確立

ところで、「それよりも大事なこと」を米国ではどのように実施しているのでしょうか。

ハリケーンのみならず、トルネードや森林火災、地震などの大規模自然災害、および緊急事態の対応や復興に関する連邦政府、州政府、地方政府の連携・協力体制が、法制面(ロバート・T・スタフォード災害救助・緊急事態支援法、以下スタフォード法)と運用面(国家対応枠組み)双方により、体系的に確立されています。

教科書通りにこれらが実行されれば、災害発生後に対策の指揮系統がすみやかに一元化され、政府間の協力・連携は大規模かつスムーズに進むよう策定されているわけです。「イルマ」でフロリダ州は、対象者が700万人ともいわれる避難命令を出しました。なかなか想像がつかないような規模ですが、これを可能にしているのがこの双子の体制です。

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