池の水をすべて抜く「かいぼり」の様子を収録したテレビ東京の番組「池の水ぜんぶぬいてみた」シリーズが人気です。ネットでも、番組でかいぼりを行なった千葉県内の池にカワセミがきたというニュースが話題になりました。番組企画時に、制作者が着目したのは「何がでてくるかわからない、という怖いもの見たさ感覚」の面白さでした。

【動画】開園100周年迎えた井の頭恩賜公園、絶滅危惧種の水草などが復活

そもそも「かいぼり」ってどういうもの?

井の頭公園のかいぼりの様子(提供・東京都西部公園事務所)

 「かいぼり」は、ため池の伝統的な管理手法の一種です。農閑期にため池の水をすべて抜き、底にたまった泥を除去したり、護岸の点検・補修を行ったりしていました。近年は、池の水質改善やブルーギルなどの外来生物駆除の方法として注目を集めています。

 2017年で開園100周年を迎えた東京都立井の頭恩賜公園(東京都武蔵野市・三鷹市)では、園内の井の頭池で2014年の1月から同年3月、2015年11月から2016年3月にかいぼりを行なった結果、絶滅危惧種の水草「イノカシラフラスコモ」の生育が約60年ぶりに確認されるなど、環境が回復しつつあります。

 東京都町田市の薬師池では、2015年10月から2016年4月にかけてかいぼりを実施。透明度が以前は良い時でも0.6〜0.7メートルほどしかなかったのが、かいぼり後はおおむね1メートル以上に改善。一時、珪藻の大量発生で透明度が下がりましたが、水を入れ替えて再び回復したそうです。皇居外苑濠の千鳥ヶ淵(東京都千代田区)でも、アオコ対策の一環として2016年11月から2017年2月にかいぼりを行い、現在効果を検証中です。

「かいぼり」が視聴率で「おんな城主直虎」を上回る

井の頭公園のかいぼりで、体が透き通ったスジエビも戻ってきた

 番組が放送されたことをきっかけに、かいぼりに関わりのなかった人々の注目も集めています。ビデオリサーチの調べによると、9月3日放映のテレビ東京「緊急SOS超巨大怪物が出た!出た!池の水ぜんぶ抜く大作戦4」の平均世帯視聴率は11.8%となり、同じ時間帯に放映されていたNHK大河ドラマ「おんな城主直虎」の11.3%を上回りました。

 番組企画を考えたのは、「池の水ぜんぶ抜いてみた」シリーズの伊藤隆行プロデューサー。昨秋の企画会議の際、ネタ探しのために眺めていた世の中の仕事リストの中に、かいぼりを発見。頭の中にかつて見たかいぼりの映像が浮かび、「池の水を抜くだけの2時間番組を作れば面白いのではないか」と発想しました。

 そもそも「池は、何の生き物がいるのかわからなくて怖い」という伊藤さん。「池の水を抜くと、見たくもないものがいっぱい出てくるはずです。その正体は何なのか、ゾクゾクしながらも怖いもの見たさのワクワク感があるのではないかと考えました」。