三菱UFJフィナンシャル・グループは、国内の事務作業を自動化することで9500人相当の労働量を削減する方針を明らかにしました。自動化で浮いた人員は、クリエイティブな分野に振り向けるとのことですが、一方ではリストラなのではとの声も聞かれます。

写真:ロイター/アフロ

 同社が導入を検討しているのは、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と呼ばれる手法です。これは、業務をあらたにシステム化するのではなく、既存のパソコンを使って社員の操作をソフトに覚えさせ、一連の業務を自動化していくというものです。新しく情報システムを構築してしまうと膨大なコストがかかりますし、業務プロセスが変わってしまうと、再びコストをかけてシステムを更新する必要があります。RPAを使えば、既存のシステムのまま業務を自動化できますから低コストで済みます。基本的にはエクセルのマクロ機能のようなものですが、これを複数のアプリケーションにまたがって、大規模に行うものとイメージすればよいでしょう。

 このところAI(人工知能)がたびたび話題になっており、社員の仕事の多くがAIに代替されるとの指摘もありますが、現実にAIが企業社会に普及するまでにはまだ時間がかかります。RPAであれば、すぐにでも導入が可能ですから、即効性が期待できますし、RPAによる自動化を進めておけば、AIが普及してきたときにはスムーズにAIに業務を移行できるはずです。

 RPAは同じ作業を繰り返すような定型業務の自動化にもっとも効果を発揮します。一方でイレギュラーな対応が多い業務はRPAを導入してもそれほど生産性は高まりません。銀行業務は圧倒的に定型業務の割合が高く、RPAにはもっとも向く業種とも言われています。

 同社が削減目標としてかかげている9500人という数字は、三菱東京UFJ銀行の国内従業員の約3割にあたりますから、かなりのインパクトです。余った人材はより付加価値の高い仕事に振り向けるとのことですが、その言葉は額面通りには受け取らない方がよいかもしれません。

 銀行業界は空前の低金利に苦しんでおり、コストを徹底的に削減しなければ利益を捻出できない状況に追い込まれています。一部の行員は付加価値の高い仕事にシフトできるかもしれませんが、そうでない人は厳しい立場になる可能性は否定できないでしょう。

(The Capital Tribune Japan)