NHKは、テレビ放送を同時にインターネットで配信する「常時同時配信」について、受信契約を結んでいる世帯に限って無料で視聴できるようにする方針を明らかにしました。ただ、ネット課金をどうするのかについては結論を先送りしており、サービス開始を最優先にした印象は否めません。

写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ

 NHKは2020年の東京オリンピックの開催までにネットでの同時配信を実現したい考えですが、ネット配信をどのような位置付けにするのかについては様々な意見が出ていました。同局は、常時同時配信に関して「放送の補完」と位置付けており、あくまで現行の放送の延長線上としてネット配信を実施したい意向です。

 9月に開催された総務省の有識者会議において同局は、すでに受信契約のある世帯については、追加負担なしでネットを見られるようにするとの方針を示しました。受信契約がない世帯の場合にはメッセージ付きの画面を表示するなど一部制限が加わることになります。とりあえず受信世帯については無料で視聴できるという話ですが、最終的にネット配信の課金をどうするのかについては結論を先送りしています。

 NHKは以前からネットでの視聴に対して受信料を徴収したいとの意向を示していましたが、ネット配信の内容について議論する前に受信料の話が出てくることに対しては、多くの批判が寄せられていました。

 今回、有識者会議で受信契約世帯に限って無料という方針を打ち出した背景には、料金体系の話はとりあえず先送りにし、ネット配信サービスのスタートを優先させたいとの意向があると考えられます。東京オリンピックという大義名分があればネット配信を実施しやすいですから、とにかくサービスをスタートさせてしまい、課金についてはオリンピック後に進めていく算段でしょう。

 ただ、視聴できる世帯を契約世帯に限定するということになると、テレビを持たない世帯は、当分の間、メッセージ付きの画面しか見られないということになります。NHKは公共放送という位置付けであり、公共の福祉のために放送を行っていますから、視聴世帯を制限してしまうことは、広く情報を届けるというNHKの趣旨からすると、むしろ後退したとの意見も出ているようです。

 結局のところ、すべての問題はネット課金をどうするのかというコンセンサスが得られていないことに起因しています。NHKはできるだけ早く、ネット配信のあり方について抜本的な方針を示すべきでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

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