安倍政権が2012年12月に発足して約5年経ちました。そのときの衆院選は「日本を、取り戻す」を掲げ、公約では「経済」「教育」「外交」「安心」の再生を訴えました。政策によって日本はどのように変化したのか。“再生”はできたのでしょうか。安倍政権5年を検証します。

  今回は、教育再生の中での「いじめ対策」の現状をみていきます。

「見過ごされていたいじめ」発見で認知件数は増加

 政権交代した2012年の総選挙で、自民党が掲げた「いじめ対策の推進」。この5年間で、公約としていたいじめ防止のための法律は施行され、いじめ防止策が全国で取られてきた。しかし、自殺などを含む「重大事態」の件数に減少傾向は見られない。いじめの認知件数の地域差も大きく、いじめの発覚時に学校や自治体の不手際が指摘される事案も繰り返し起こっている。法律の趣旨がすべての学校や自治体に浸透しているとは言い難い。同法の施行から3年が経ち、国の基本方針も改定されるなど、政策は見直しの時期を迎えている。

[イメージ画像]「いじめ防止法」は成立したが、自殺などの重大事態は減少していない(アフロ)

 2013年6月、いじめ防止対策を効果的に進めるための法律「いじめ防止対策推進法」が、自民、公明、民主各党などの賛成多数で可決・成立し、9月から施行された。いじめ防止に特化した法律の制定は初めてで、いじめ対策は大きく前進すると期待された。

 同法では国や自治体、学校に対し、いじめ防止対策に取り組むための基本方針の策定を求めた。学校は複数の教師やスクールカウンセラーらで構成するいじめ対策組織を常設することとし、いじめを背景とした子供の自殺などが起きた際は、教育委員会や学校に対し、事実関係の調査と被害生徒の保護者への説明を義務づけた。

 文部科学省の2015年度の調査によると、同法で努力義務とされている、いじめ防止の基本方針の都道府県の策定状況は100%となり、市町村でも76.6%と高い数値となった。基本方針の策定が義務付けられた学校では、方針をホームページなどで公表している学校(小・中・高・特別支援学校)は70.4%となっている。同法の成立によって、全国の自治体や学校で、いじめ防止対策についての方針が固まったことは成果といえるだろう。