ピーター・バラカン(撮影:志和浩司)

 ブロードキャスターのピーター・バラカン氏が監修する音楽フェスティバル「Peter Barakan's LIVE MAGIC!」(以下、ライヴ・マジック)が今年も10月21日・22日(日)の2日間、東京・恵比寿ガーデンプレイスにて開催される。ステージはもちろんのこと飲食メニューも充実、音楽界のオクトーバーフェストといわれ、はや4回目。「子どものころから音楽バカなんですよ」と笑うバラカン氏に、イベントへのこだわり、音楽へのこだわりを聞いた。

「僕でいいの?」頼まれてはじめたフェスのキュレーション こだわりの音楽とフェス飯が意外とウケた

 音楽フェスティバルにおける飲食、いわゆる“フェスめし”といえば、さほど凝ったものはない印象がある。しかしライヴ・マジックの場合は、バラカン氏の“本当に美味しいものを提供したい”という姿勢が反映され、参加者の舌を満足させてきた。個人的に知っているお店に頼んで、1回目から出店してもらっているのだとか。

 「たとえば江古田で小さな店をやっている、音楽好きな人がいてね、彼が作るニューオーリンズの有名なガンボという煮込み料理は大ヒット。彼は今年、レパートリーを増やして、ルイ・アームストロングが生涯愛したレッドビーンズ・アンド・ライスを出しますよ」

 そもそもライヴ・マジックは、頼まれて始めたのだという。

 「いま運営の中心メンバーにいる2人のスタッフが、2013年の暮れに会いにきてくれたのが発端です。彼らは80年代、中学・高校のころ、僕の『ザ・ポッパーズMTV』という番組で洋楽と出会ったらしい。それで、いまなら僕が何を紹介するだろうという好奇心を持って、フェスティバルのキュレーションをやってもらえないかと」

 しかし、最初はちゅうちょした。

 「僕の音楽の好みがけっしてマスな好みではないことは自分でわかっていたから、興行となると僕でいいのかと。でも、意外とお客さんに足を運んでいただいています」

「縦ノリは体が受け付けない」小さいときの体験、潜在意識が音楽の好みに大きく影響

ピーター・バラカン(撮影:志和浩司)

 音楽のアンテナは、常に高感度。ビートルズのデビューが、11歳のときだった。

 「もろに彼らのマジックにかかって、どっぷり音楽にいっちゃった。高校生まではギターを弾いたりしたけれど、プレーヤーとしては弟のほうが才能があった。僕はそっちは断念し、いい音楽を見つけて人に紹介する仕事をしたいと考えたんです」

 バラカン氏といえば、ハードロックやヘヴィメタルを苦手とすることも知られる。

 「あくまで僕の好みなんです。でも好みってどういうふうにできるのかなって考えると、小さいときの体験は大きい、潜在意識にすごく影響をおよぼすものだと」

 10歳のころ、学校から帰るとよく母親がレコードをかけていて、その音楽が耳に入った。ビリー・ホリデイや、レイ・チャールズとベティ・カーターのデュエットなど、クォリティーが高くシブいレコードが家にあったという。

 「時代的にも60年代はビートルズ、ボブ・ディランなど、後々何世代にも影響をおよぼす音楽が出たタイミング。ローリング・ストーンズの影響も大きかった。あれでブラックミュージックに興味を持ち、ソウルやブルーズを聴くようになりました。そのリズム感が体の一部になってしまったので、レッド・ゼペリンが出てきても、あまりに縦ノリで体が受け付けないんです。ただ、これは好みですから、人には強制しませんよ」