電気自動車の高性能化と低廉化に貢献する可能性を秘めた新電池として「全固体電池」という言葉を、ニュースなどでよく見聞きするようになりました。2020年代半ばの実用化が見込まれるこの電池、一体、どのような特徴を持つ電池なのでしょうか。

電池の中身は液体

全固体電池の研究・開発が進んでいる。写真は現在主流のリチウムイオン電池(Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 ふだん、あまり意識をしませんが、電池の中身は液体です。電池の液体は、電気の通り道の役割をしています。これを電解質といいます。乾電池というのは、液体の電解質(電解液)を個体に染み込ませて、こぼれにくく持ち運びやすくした製品です。乾電池を電気製品に入れっぱなしにすると、焦げ茶色の液体が漏れてしまう場合がありますね。あれが電解液です。

 パソコンやタブレット、スマホといった電気製品や、ハイブリッド自動車には、よくLi(リチウム)イオン電池が採用されています。Liイオン電池は、ほかの電池に比べて、同じ体積でもより多くの電気を貯められるなどの利点があります。

 一方で、電解液に「エチレンカーボネート」など可燃性の有機溶媒が使われています。このため、まれに発火事故が生じるケースがあるわけです。輸入販売されたドライブレコーダーでLiイオン電池が原因で火災が発生し、販売会社がリコールを開始したケースもありました。

全固体電池は、電気をより多く貯められて燃えにくい

 これに対して「全固体電池」は、ケースはもちろん「すべての部品が固体でできている電池」のことを言います。全固体電池は、電解質に燃えにくい材料を使います。

 このため、Liイオン電池に比べて安全性が大幅に向上します。しかも、Liイオン電池と同じ体積でも、全固体電池の方がより多くの電池を詰め込める、つまり電気をより多く貯められるというメリットがあります。

 全固体電池は、長寿命化も期待されるメリットの1つです。Liイオン電池の充電回数は1000〜1500回ですが、全固体電池はこの5〜10倍に伸ばせる可能性もあります。寿命が伸びれば電池価格の低下が見込まれます。このほか、充電時間の大幅な高速化も期待されています。