思わぬ形で巻き込まれたボルト(写真:ロイター/アフロ)

NFL(米プロアメリカンフットボール)で、警官による黒人射殺に抗議の意思を示すため、選手らが国歌斉唱時に起立せず、膝をつくという行動が広がっているが、その抗議行動を巡って、トランプ大統領との対立がヒートアップしている。

 そして、この日、NFL批判を緩めないトランプ大統領は、ついに先日の世界陸上で引退した100、200mの世界記録保持者で、北京、ロンドン、リオ五輪で8つの金メダルを獲得した陸上界のスーパースターのウサイン・ボルトまで巻き込んだ。

 トランプ大統領は、自身のツイッターアカウントに、ボルトの動画を投稿。この動画は、2012年のロンドン五輪のもので、インタビューを受けている途中に米国の国歌が流れてきたため、ボルトがインタビューを中断して米国国歌に敬意を表するという様子が収められている。ちなみにボルトはジャマイカ国籍だ。

 トランプ大統領は「史上最も優れたアスリート、ランナーの一人である、ジャマイカ出身のウサイン・ボルトでさえ、我々の国歌へのリスペクト(尊敬)を示した」と書き込み、米国とジャマイカ国旗の絵文字を付け加えた。リスペクトの部分は大文字にして強調している。

 米メディアも、このトランプ大統領のボルト動画投稿を一斉に報道した。

 ニューヨークポスト紙は「トランプ:ウサイン・ボルトさえ、我々の国歌へのリスペクトを示した」というタイトルで皮肉まじりに報じた。

 記事は「トランプ大統領は、アスリートが国歌斉唱で起立するかどうかについてまたツイートをし、歴代で最も素晴らしいスプリンターであるウサイン・ボルトまでを引っ張り出した」と述べている。

 ニューズウィーク誌電子版も「トランプ大統領はNFLの国歌斉唱の議論にウサイン・ボルトを引きずり出した」という見出しで報じた。

「国歌斉唱の議論に引っ張り出されることから、誰も逃れられないようだ。ジャマイカのスプリンターでさえも。トランプ大統領はオリピックで8個の金メダルを獲得したウサイン・ボルトを、国歌を尊重する根拠に選び出してきた」と伝えた。
 
 そして、同誌は「ボルトは今のところ、この投稿についてコメントしていない。しかし、この国歌についての議論はまだまだ終わりそうにない。特にトランプがこれについて何でもやろうとする限りは」と、ボルトの名前を使ったトランプ大統領の反撃ぶりを暗に批判した。