2015年12月、アニメ「君の名は。」製作発表(撮影:志和浩司)

 昨年夏に公開され、興行収入250億円を超える大ヒットを記録した新海誠監督のオリジナル長編アニメ「君の名は。」が、ハリウッドで実写映画化される運びであることがわかった。配給の東宝によれば、同社とパラマウント・ピクチャーズ、バッド・ロボットの3社が共同開発中とのこと。7月には「ONE PIECE」のトゥモロースタジオによる実写ドラマ化が発表されたが、ハリウッドはどうやら日本のアニメ・漫画のヒット作が大好きなようだ。

たとえハリウッド製作でも、実写化に厳しい原作やアニメファン

 「君の名は。」は、高校生の男女が主人公。心と体が入れ替わる不思議な夢を通してお互いを知り、運命に翻ろうされていくシュールでファンタジックな物語。SFとラブストーリーが融合した展開は、多くの人をとりこにした。精緻な情景描写も話題になり、ファンの間ではモデルとなった地の探訪がブームとなった。ハリウッドのトップクラスのクリエーターたちによって、「君の名は。」がどう実写化されるのか。

新海誠監督。2015年12月、アニメ「君の名は。」製作発表(撮影:志和浩司)

 日本のアニメあるいは漫画の実写映画化は、もちろん国内でも盛んだ。ヘタにオリジナル脚本で映画を撮るよりも、すでに人気があってファンもついているアニメや漫画をベースにしたほうがヒットが狙える、という考えもある。しかしながら、もともとの作品を愛するファンの期待に十分応える実写化というのはキャスティング含めなかなか難しいのも事実。原作ファンは原作のイメージやニュアンスが変化してしまうことに敏感だ。製作側が原作と映画は別物と説明したとしても、原作ファンにとってはそう簡単に割り切ることはできない。

 たとえハリウッドで実写化されても、その辺りのファン心理は変わらない。国内での実写化よりも数倍大胆なアレンジが施されることが多いし、作品の解釈自体が日本とは異なることもある。ファンとしては、それを「ハリウッドだからしょうがない」と簡単に割り切れるものでもない。

 鳥山明氏の人気漫画「DRAGONBALL」を製作会社20世紀フォックスが手掛けた実写版「DRAGONBALL EVOLUTION」(2008)は、製作費約4500万ドル、60カ国以上で上映され、全世界興行収入は約5750万ドルだった。しかし、キャラクター設定や世界観の相違など、原作への敬意を置き去りにした作品だったため、原作およびアニメファンのみならず、原作者をも大いにがっかりさせた。ハリウッド製作の日本の漫画、アニメ実写版と聞くと、思わず同作の大きな失敗を思い出してしまう人も多いだろう。

 さらに今年8月にNetflixで世界190カ国に同時オンラインストリーミング配信された「Death Note/デスノート」は、試写の段階で原作者が「想像以上に面白かった」と称賛コメントを発表していたものの、ファンの反応はけっして好ましいものではなく、ネット上にはかなり辛辣なコメントも躍った。

 海外とのこうしたコラボレーションは、どことパートナーを組むのか、パートナーがどれだけ原作を理解しているかによっても、大きく変わってくるだろう。前述の「ONE PIECE」の場合は、原作者が「20年間作品を支えてくれているファンを絶対に裏切らないこと」を条件に選び抜いたトゥモロースタジオが、大きな予算をかけて実写ドラマ化する。同スタジオは、人気シリーズ「プリズンブレイク」を手がけたマーティ・アデルスタイン氏が率いるが、氏自身、20年間にわたる「ONE PIECE」のファンとのことで期待して良さそうだ。