10月1日は、日本酒造中央会が定める「日本酒の日」。全国各地で地酒を製造する酒造会社などでは10月から酒を造り始めるところが多く、昔から10月1日を酒造りの元旦として祝う風習があったことなどに由来しています。日本酒は紀元前から続く(諸説あり)長い歴史を持つ伝統的な日本のモノづくり文化である一方で、その日本酒は現在“消費減少”という危機に直面しています。今回は、この日本酒市場をめぐる動向と酒造りの現場の声をまとめます。

内需減少と輸出増加、ピンチとチャンスを抱えた日本酒市場

瓶詰め工場で出荷を待つ人気日本酒「久保田 萬寿」

 日本酒の国内消費減少といっても、その実態はどうなっているのでしょうか。酒税を管轄する国税庁が毎年まとめている酒類販売量=消費量の統計によると、2004年に約74万キロリットルだった清酒(日本酒)の消費量は、2014年は58万キロリットルとなり、10年間で約25%も減少。酒類合計の減少幅が7.9%と小さい一方で、日本酒の消費は大きな減少となっています。ここ数年は前年比3%前後の消費減少が続いており、この傾向は止まりそうにありません。

 この消費減を少し細かく見ていくと、醸造アルコールを添加したカップ酒やパック酒のような「普通酒」と純米酒や純米大吟醸酒といった地酒の蔵元などが製造する「プレミアム酒」と大きく分けて2つに分類され、この大きな市場減少を招いているのは普通酒の大幅な消費減少が要因に。半面、プレミアム酒は伸びを示しており消費量全体に占める比率は高まっています。しかし、近年は果実酒やリキュール、スピリッツなどの酒が大きく市場規模を拡大しており、日本酒離れの食い止めは業界の大きな課題だと言えるでしょう。

 こうした日本酒の消費減少の背景について、人気の日本酒ブランド「久保田」を手がける朝日酒造(新潟県長岡市)の平澤 聡さんは、飲酒をめぐるスタイルの大きな変化を要因のひとつとして挙げます。「かつてお酒はコミュニケーションの手段として愛好され、お酒を楽しむことが目的となっていた。

 しかし、最近はお酒の位置づけそのものが変化している」と平澤さん。少し前の時代までは“お酒を飲むこと”が友人・知人との楽しみのひとつでしたが、そうしたライフスタイルが変化して飲酒への関心が薄れていることが要因のひとつと言えるでしょう。