今年も、1年でもっとも自然科学が注目される1週間がやってきた。きょうからノーベル賞の受賞者発表が始まるのだ。すぐれた研究業績をあげた人に贈る学術賞はいくつもあり、対象となる分野が限定されているなど、ノーベル賞を特別視することに議論はあるが、歴史の長さと知名度、賞金の額の大きさなどから、ノーベル賞はやはり別格だ。

【図】2017年「生理学・医学賞」は誰の手に? 日本科学未来館がノーベル賞予想

[写真]ノーベル賞のメダル。歴史や知名度などから別格の重みがあるといえる(アフロ)

 例えば生理学・医学賞でいえば、ガードナー国際賞やラスカー賞、慶應医学賞のように、その賞の受賞者がのちにノーベル賞を受賞することが多いことで知られる、いわば“ノーベル賞の前哨戦”とされる国際的な学術賞がいくつかある。しかし、ノーベル賞の受賞後に取るさらに大きな学術賞というのはあまり聞かない。対象分野の研究者が最後に取る学術賞がノーベル賞だといえるだろう。

 2014年は物理学賞、2015年は生理学・医学賞と物理学賞、昨年2016年は生理学・医学賞と、この3年、日本人の受賞が続いている。もし、今年も受賞者が出れば4年連続となり、これは初めてのことだ。今年はこれまで以上に関心が高まるのではないだろうか。

 日本科学未来館では毎年この時期を、自然科学に注目が集まる好機ととらえ、さまざまな活動を行っている。その柱となるのが、受賞にふさわしい研究者とそのテーマを紹介する活動だ。

 今年は以下の研究テーマと科学者を取り上げた。個々の研究の詳しい内容に関しては、同僚たちが書いた生理学・医学賞、物理学賞、化学賞の記事や、同僚たちが書いた記事や未来館の科学コミュニケーターブログをご参照いただきたい。

【生理学・医学賞】発表10月2日(月)18時30分~(日本時間)

■コレステロール低下薬「スタチン」の発見
遠藤章(えんどう・あきら)博士
■オプトジェネティクス(光遺伝学)の確立に対する貢献
ピーター・ヘーゲマン(Peter Hegemann)博士/カール・ダイセロス(Karl Deisseroth)博士/エドワード・ボイデン(Edward Boyden)博士

 期せずして、両方とも化学賞でもおかしくないテーマとなった。薬の開発は、有機合成に頼る部分が大きく、遠藤博士の名前は毎年のように未来館・化学賞チームから挙がってくる。脂質であるコレステロールの研究は、実験後の器具の洗浄が大変で、やりたがる人があまりいなかったという。流行とは無関係の鉱脈を掘り続けた遠藤博士の研究姿勢は、科学コミュニケーターならば紹介したいエピソードだ。

 オプトジェネティクス(光遺伝学)は、脳神経科学を躍進させたと言ってよい実験技術だが、過去の例を見ると、化学賞での受賞でもおかしくない。化学賞で受賞した田中耕一博士や下村脩博士の受賞理由は、どちらも生命科学の研究の場で活躍している技術だからだ。

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