(写真はイメージ、提供:アフロ)

 10月2日に日銀短観(9月調査)が発表されました。最も注目される大企業製造業の業況判断DIは+22と市場予想(+18)を大幅に上回り、アベノミクス開始以降の最高点に到達。2007年9月調査以来の高水準を記録しました。

 前回調査以降、為替はおおむね横ばいでしたが、そうした中で生産と輸出が好調に推移したことが効いた模様です。業種別では、汎用機械、生産機械、業務用機械など資本財関連の業種が著しい改善を記録したほか、電気機械、自動車などが改善。3カ月後の業況を問う先行き判断DIは+19へと軟化しましたが、6月調査対比では改善し、かつ水準も十分に高いことを踏まえれば悲観する必要性に乏しいと言えます。

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 大企業非製造業の業況判断DIも+23と高水準。市場予想(+24)には届かなかったものの、2000年代入り後の最高点付近を維持しています。これまでどおり建設、不動産、対個人サービス、対事業所サービスなどが高水準にある一方、宿泊・飲食サービス、小売が低い水準となりました。後2者については、夏場の長雨が下押し要因になった可能性があるほか、既往の人手不足が影響しているとみられます。

日銀短観 業況判断DI(大企業)

 大企業のほか中堅企業、中小企業の業況判断DIに目を向けると、製造業・非製造業が双方とも前回調査対比で改善しました。この結果、全規模・全産業の業況判断DIは+15へと3pt改善し、1991年以来の高水準となりました。このように企業の景況感はすこぶる好調と言えます。

賃金と物価の上昇は日銀満足レベルほどではないが、先行きは上昇加速

業況判断DI (全規模全産業)

 雇用人員判断DI(全規模・全産業)に目を向けると「最近」は▲28、「先行き」は▲31でした。マイナス幅が拡大するほど労働需給のひっ迫感が強まっていることを示すこの指標は、バブル期に匹敵する水準にあります。規模別では大企業よりも中小企業のマイナス幅が大きく、業種別では製造業よりも非製造業の方がマイナス幅が大きい傾向にあります。労働集約的な非製造業で人手不足感が強まっていることは今後の賃金上昇圧力として、資本集約的な製造業でのそれは省力化のための設備投資が増加する予兆として認識されます。