楽天が、フリーテルのブランドで低価格スマホの製造とMVNOサービスを提供するプラスワン・マーケティングのMVNO事業を買収すると発表しました。楽天はフリーテルから顧客を買うことでシェアを伸ばし、フリーテルは回線事業を売却することでスマホ製造に特化します。

格安SIMビジネスは厳しい?

 楽天は2007年にIP電話会社であったフュージョン・コミュニケーションズを買収し通信事業に参入。現在はIP電話事業(楽天コミュニケーションズ)とMVNO事業(楽天モバイル)を行っています。

 MVNO(仮想移動体通信事業者)とは、自ら通信回線を所有せずに自社ブランドで通信サービスを行う事業者のことで、具体的にはNTTドコモなどから余っている携帯電話の回線をまとめて仕入れ、小口に分けた上で、割安な価格で利用者に提供します。たいていの場合、回線所有事業者よりも低価格であることをウリにしますから、こうした事業者が提供するSIMカードは格安SIMなどと呼ばれています。

 プラスワン・マーケティングは2012年に設立されたベンチャー企業で、主な事業は、アンドロイドを搭載した低価格スマホの製造販売と格安SIMを使った低価格な通信サービスの二本立てとなっていました。同社は人気女性タレントをCMに起用するなど、大胆なマーケティングでシェアを伸ばしてきましたが、どちらの事業も非常に利幅が薄く、厳しい経営状態が続いていました。同社の2017年3月期の売上高は約100億円ですが、経常損失は何と55億円にも達しており、赤字を垂れ流している状況です。100億円の売上高のうち、MVNO部門は約43億円となっており、楽天は約30億円の負債も含めてこの事業を約5億円で引き取ります。

 MM総研のシェア調査によると、MVNO事業で楽天はシェア3位、フリーテルは5位となっています。楽天がフリーテルを買収したことで楽天のシェアは2位のIIJ(インターネットイニシアティブ)と並びますから、負債を含めてもフリーテルを買収する意味はあるかもしれません。ただ、楽天全体のビジネスを考えた場合、ここでMVNOのシェアを高めることにどれほどの効果があるのかは微妙なところです。

 今回、楽天がフリーテルを買収したことで、格安SIMのビジネスは非常に厳しい状況にあることが改めて認識されました。今後は格安SIM事業者の再編がさらに進む可能性が高まってきたといえるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

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