多田は2人目の9秒台を出せるのか、注目される。(写真:松尾/アフロスポーツ)

 2017年シーズンが終盤を迎えるなか、男子100mが記録ラッシュに沸いている。日本インカレ(9月9日)で桐生祥秀(東洋大)が9秒98(+1.8)の日本記録を樹立すると、全日本実業団対抗選手権(9月24日)では山縣亮太(セイコー)が日本歴代2位タイの10秒00(+0.2)をマーク。6月の日本選手権で悪夢を味わったふたりが、タイムを伸ばしてきた。

 1998年12月のバンコク・アジア大会で伊東浩司が10秒00を刻んで以来、日本人スプリンターにとって、「9秒台」は現実的な目標になったはずだった。しかし、朝原宣治、末續慎吾らは壁を突き破ることができなかった。2013年4月29日の織田記念で当時17歳の桐生が10秒01をマークするも、わずか30cm差を縮めるために、1594日もの月日を要したことなる。だが、今後はさらなるタイム短縮が期待できそうな予感が漂っている。

 今季は桐生と山縣に加え、サニブラウン・ハキーム(東京陸協)、多田修平(関学大)、ケンブリッジ飛鳥(ナイキ)、飯塚翔太(ミズノ)の6人が自己ベストを更新。全員が日本歴代10位以内の好タイムを保持している。では、次に9秒台を出すのは誰なのか。

 走りの完成度とレーススケジュールを考えると、最も近いのは、6日から始まるえひめ国体にエントリーしていた山縣だった。しかし、「右脚ハムストリングの肉離れ」のため欠場することに。今季のトラックレースは残り少なくなっており、桐生やサニブラウンは個人レースの出場予定はない。えひめ国体にはロンドン世界選手権で銅メダルに輝いた男子4×100mリレーの1走を務めた多田が出場を予定しており、日本人2人目となる9秒台のチャンスがある。

 桐生が10秒の壁を突破した日本インカレでも、日本選手権で2位に食い込んだ多田の存在が大きかった。「ここで負けたら負け癖がつく。出るからにはケガをしてもいいくらいの気持ちで序盤から飛ばしていきました」という桐生が多田に先着して、9秒台をものにしている。多田も自己ベストの10秒07(日本歴代7位タイ)をマークするも、「目の前で9秒台を出されて、正直めちゃくちゃ悔しい。2番目になってしまいますが、次は自分が9秒台を出したいです」と次なるレースを見つめていた。成年男子100m予選は10月7日の12時00分~、同決勝は同日の16時50分。ライバル不在のなか、今季急成長した多田が持ち味のスタートダッシュで飛び出して、どんなタイムを刻むのか。