世界ランク113位の格下NZ相手に2-1のスコアは不満に映るかもしれない。しかし、随所に質の高いアピールは見えた。前半は0-0で折り返したが大迫と2年ぶりに先発出場した武藤の連携が冴えた。結果的には決めきれなかったが、何度か得点のカタチを作った。

 大迫はロングボールをよく足元に納めていた。自分が受けに行くというより、周囲に目を配り、どう生かすかを意識していて、スペースを作る動きが上手かった。一方で、体を張ってボールもキープ。そのあたりのFWとしてのバランスは、完璧と言ってよかった。そして武藤も、その大迫が作ったスペースをしっかりと使おうとしていた。頭を使い、予測し、連携を考えながら動いているのが見てとれたのである。
 後半15分から大迫に代わって起用されながら、前線で待つだけだった杉本は、この大迫の細かい動きや仕掛けを見習うべきだろう。

 後半15分に香川に代えて小林、25分には武藤に代えて乾が入ったことで明らかにチームのリズムが変わった。彼らにボールが納まりだしたことが、その原因。特に私は、小林のゲームメーカーとしての存在感を評価したい。周りがよく見えていて、どう生かしたいかのデザインが明確に思えた。この日は、実現しなかったが、小林―大迫―武藤という組み合わせで、チームにどんな化学反応が起きるのかをぜひ試してもらいたい。それほどの期待感と可能性を感じさせてくれた。

 決勝点は後半42分、代表初ゴールとなる倉田のヘッド。ディフェンスからのああいう飛び出しが倉田の持ち味だが、ガンバでのプレーをそのまま代表のピッチで表現した。井手口はしっかりと守備に汗をかいたが、倉田はまた違うタイプ。自信にはなっただろう。

 一方、残念だったのはトップ下で先発出場した香川である。

 ロシアW杯では、最終的にはベンチメンバーとしては残るだろうが、現状では、本番での先発出場は厳しいと感じた。ペナルティエリア内で、「なんとかしてくれる」というのが、全盛期の香川が持っていた強みだが、決定的なチャンスを前半9分、23分と2本も外した。そのうち、1本でも決めていれば、香川自身の代表に対するボルテージも上がってきたのだろうが、逆の結果になった。

 1本目は、ペナルティエリア内で、香川は得意のタッチでディフェンスを交わしてフリーになったが、惜しくもポストに嫌われた。2本目も、セカンドボールを拾った山口がヒールパスで香川につないだが、右足でフルスイングして枠を外してしまっていた。あそこは100パーセントの力で打たなくてもいい場面。ペナルティアーク内である。以前の香川ならば、冷静にパスを流すようにしてポーンと決めていただろう。なのに、いらぬ力が入った。ようするにプレーに余裕がないのだ。香川の現状を表す象徴的なシーンだったのかもしれないが、“使う人”ではなく、連携の中で“使われる人”である香川が、あそこで決めきれないようでは、対戦相手次第とはいえ、11人のメンバーに入ってくるのは難しいのかもしれない。

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