聞きたくない言葉だった。内容を見れば、口にしてはいけない言葉でもあった。目に見える結果を残せないままピッチを去ったニュージーランド代表戦後の取材エリア。トップ下を担った香川真司(ボルシア・ドルトムント)が表情を曇らせた。

「勝ち切れたことはよかったけど、W杯という点では正直、何の意味がある試合なのかなと。相手のインテンシティーも高くなかったし、W杯を見すえるという意味では、こういうレベルは多分ないと思うし、評価しづらいゲームになったと思う」

 FIFAランキング113位のニュージーランドを、豊田スタジアムに迎えた6日の国際親善試合。同40位の日本代表は、後半42分に決まったMF倉田秋(ガンバ大阪)の代表初ゴールで2‐1と勝ち越し、3分間のアディショナルタイムを含めてその後を守り通した。

 シュート数で18対6、ボール支配率で61%対39%とそれぞれ圧倒しながら、辛勝を余儀なくされた。実際、FIFAランキングほどには、両国の差は開いていなかった。日本のスピードに慣れた前半の半ば以降は、中盤のパスコースを積極的に遮断する激しい守備が奏功した。

 FIFA(国際サッカー連盟)の規約変更で、2014年以降は国際Aマッチデーの大半がW杯予選などの公式戦にあてられてきた。ニュージーランドはOFC(オセアニアサッカー連盟)の所属国以外とのマッチメークが難しくなり、必然的にFIFAランキングも低くなる。

 ましてや、10月の国際Aマッチデーは、AFC(アジアサッカー連盟)とOFC以外はW杯予選がたけなわだ。予選を免除される開催国ロシアは、イラン及び韓国両代表と国際親善試合を組んでいた。

 加えて、オセアニア予選を勝ち抜き、南米5位との大陸間プレーオフを来月に控えるニュージーランドはモチベーション的にも高かった。そうした状況を考えれば「何の意味がある試合なのか」とはならないはずだし、前半に得たいくつかの決定機でゴールしていれば結果もまた違っていただろう。

 スタジアムがため息をついたのは開始8分だった。ゴール前でこぼれ球を拾った香川が、冷静かつ繊細なタッチで相手を一人かわしてから右足を振り抜く。強烈な弾道はしかし、右ポストに弾かれてゴールラインを割った。

 決定機を逸したことでリズムを崩し、焦りが生じたのか。同23分にはセカンドボールを拾ったMF山口蛍(セレッソ大阪)が右にはたいたボールに完璧なタイミングで走り込むも、ペナルティーアーク内から放たれたシュートはバーの上を越えた。

「決め切りたかったけど、しょうがないです。(前半の途中からは)相手が慣れてきて、マンマーク気味に僕についてくるようになった。そういうなかで、ちょっと行き詰った感じはしました」

 こう振り返る香川が放ったシュートは、前半23分の3本目が最後になった。時間の経過とともに存在感も薄まり、後半15分にMF小林祐希(ヘーレンフェーン)との交代を命じられた。

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