長野市の善光寺で8日、国宝の本堂や重要文化財の経蔵などに100か所近い落書きが見つかり、警察が文化財保護法違反などの疑いで捜査を始めました。落書きは白色で×印のように書かれ、大きさは10センチ前後。警察は境内の防犯カメラの映像などから犯行の状況や人物を調べています。

[写真]国宝・本堂の落書き

 善光寺によると8日午後、同寺を訪れた一般人から落書きがあるとの指摘があり職員らが調べたところ、国宝の本堂や重要文化財の経蔵、同山門(三門)などで数十か所見つかり、9日までの調査で90か所以上に上ることが分かりました。

[写真]経蔵の石段にも

 落書きの場所は本堂の内外、経蔵、山門、仁王門のほか忠霊殿の周辺、大勧進、大本願、一部の宿坊などにわたり、低いところは膝を折って書き込み、高い場所は地上120~130センチほどの高さで見つかっています。

[写真]山門の柱に×印の落書き

 同寺では以前にも落書きされたことがあり、その後防犯カメラの設置などの対策を進めました。善光寺は歴史的に24時間いつでも誰でも訪れることができる寺として開かれており、そのすきを突いたと見られる犯行に同寺は「今後、警備や職員の巡回の強化をしたい」としています。

[写真]「憤りを覚える」と話す若麻績寺務総長

 善光寺は近く被害届を警察に出す予定。同寺の若麻績信昭(わかおみ・しんしょう)寺務総長は「信仰に対する冒とくであり、悲しく、憤りを覚える。90カ所以上もの落書きは執念をうかがわせるもので、なぜこんなことをしたのか気になる。これまで嫌がらせなどを受けたことはなく、心当たりはない」と話しています。

[写真]連休でにぎわう境内

 善光寺は1400年前の創建とされ、鎌倉時代には源頼朝の信仰を得たほか武田信玄など戦国武将との関わりも深く、江戸時代になってからは幕府の援助を受けて庶民の信仰を広げました。国宝の本堂は1707(宝永4)年の落成で、すでに300年余を経ています。

 同寺によると年間の参拝者は約600万人に達し、この3連休も全国から訪れた人や外国からの観光客でにぎわっていました。
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 (10月11日追記)善光寺や周辺の寺院などの落書き事件で10日、長野市内の40代の女が建造物損壊などの容疑で警察に逮捕されました。


■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者・編集者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説

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