2015年、原発ゼロ状態から、約2年ぶりに国内での再稼動となった川内原発(鹿児島県)=2015年7月撮影(写真:ロイター/アフロ)

 安倍政権が2012年12月に発足して約5年経ちました。そのときの衆院選は「日本を、取り戻す」を掲げ、公約では「経済」「教育」「外交」「安心」の再生を訴えました。政策によって日本はどのように変化したのか。“再生”はできたのでしょうか。安倍政権5年を検証します。

 第1回は社会・経済活動の根幹となるエネルギー政策をみていきます。


 東日本大震災を契機に、日本のエネルギー・原子力政策は大きく変わった。

 民主党政権は、定期点検を迎えた全原発の停止と再生可能エネルギー(再エネ)利用促進政策を導入したが、安倍政権では、原子力規制委員会により安全性が確認された原発の再稼働を進める一方、電力料金の上昇につながる再エネについては、導入の速度を落とす方向にある。しかし、民主党政権が導入した政策の影響を依然受け、中長期視点から原発をどうするのか、具体策が定まったとは言えない。

[図-1]電源別発電量比率推移。原発からの供給がゼロになった2014年度は88%が火力発電となった

 どのようなエネルギーをどの程度利用するかを決めるエネルギー政策において配慮されるべき点は、エネルギー「価格」、エネルギー調達の「安全保障」、地球温暖化を中心とした「環境問題」だ。

 国産で価格が安く、温暖化を引き起こす二酸化炭素を排出しないエネルギーで供給が行われるのが理想だが、そんなことが可能な国はどこにもない。どの国も3要素に基づきエネルギーミックスと呼ばれるバランスを考えている。3要素の内、まず価格を考えてみよう。

 日本では、原発の停止により不足する電力供給のため石油、液化天然ガス(LNG)、石炭火力の利用率を上げ対処した。原発からの電力供給が徐々に減少し、ゼロになった2014年度には、電力供給の88%が火力発電により行われた(図-1)。

最大1kWhの燃料費が震災前より4.5円上昇 その理由は……

[図-2]化石燃料価格推移。2011年に上昇した原油、LNG価格の高止まりは2014年後半まで続いた

 このため燃料購入量が増加することになったが、間が悪いことに2011年から原油、LNGの価格が上昇し始め、2014年後半まで高止まりする(図-2)。量と単価の上昇により電気料金に占める燃料費も上昇し、最大時には1kWh(キロワット時)当たり8.1円に達し、燃料費だけで震災前との比較で4.5円の上昇になった。