安倍政権が2012年12月に発足して約5年経ちました。そのときの衆院選は「日本を、取り戻す」を掲げ、公約では「経済」「教育」「外交」「安心」の再生を訴えました。政策によって日本はどのように変化したのか。“再生”はできたのでしょうか。安倍政権5年を検証します。

 今回は、経済再生のけん引役として国が期待をかける観光産業を取り上げます。インバウンドに沸く関西で成果と課題を追いました。


中国国慶節の大型連休。多くの中国人が日本で買い物する姿がみられました=2017年10月撮影(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 第二次安倍政権の5年間で目に見えて伸びた経済指標といえば、外国人旅行者を誘致するインバウンドがあげられます。日本政府観光局(JNTO)のまとめを見ると、2012年の訪日外国人数は約840万人でしたが、右肩上がりで増え続け、2016年は統計開始以来、過去最多となる2400万人超と伸びました。

 りそな総合研究所によると、特に関西地方の訪日外国人旅行消費額は約1兆1200億円と全体の3割を占めるといい、東京だけでなく関西への誘致成功が今後もカギとみられます。一方で、訪日客数の伸び率の鈍化を指摘する声もあります。政界再編の話題ばかりが先行しているように見える今回の衆院選ですが、経済政策の論議はやはり大きな争点として求められます。

ビザの免除、国挙げての誘致に効果、インバウンドによる収入大

 訪日外国人数は2013年に1000万人を突破。以後、2014年・約1340万人、2015年・約1970万人、そして2016年は2000万人台に到達しました。特に中国、韓国などアジア方面からの来客が大きな割合を占めています。政府は今後も2020年に4000万人、2030年に6000万人という目標を示し、経済の柱にしたい考え。

 一方で、伸び率は2015年に前年比47・1%増だったのに対し、2016年は前年比21.8%増とやや鈍化しました。これは同年4月の熊本地震の影響で春から夏にかけての伸びが止まったことが要因として挙げられています。2017年も5月までに過去最速ペースで1000万人を突破しましたが、中国からの訪日客数のペースが落ちているといい、今後の推移が注目されています。

 りそな総合研究所の荒木秀之・主席研究員は「(タイやマレーシアなどを含めた) 観光客のビザ(査証)免除、国をあげての誘致などが一定の功を奏し、インバウンドは確実な伸びを示したといえる。一度来てもらえばリピーターも多く、SNSの普及で日本の良さを発信してくれるといった好循環もあるのではないか」と分析。

 最近中国の一部都市で日本への団体旅行を規制する動きもあるようですが、直近は韓国からの来客が堅調で、「中国、韓国だけでなく、今後もASEAN諸国の所得の伸びが期待され、2030年まで安定的に増加するという見通しは実現性があるもの」と話します。

 また関西の人気については「関西国際空港のLCC(格安航空会社)の積極誘致などが背景にある上、もともとナチュラルな観光資源があり、インスタグラム映えする京都や買い物がしやすい大阪・ミナミなど人気スポットも多い。インバウンド収入によって大きな金額が落ちている」と指摘しています。

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