CS下克上を果たしたラミレス監督は甲子園の濡れた芝を読んだ梶谷の走塁を絶賛(資料写真・黒田史夫)

横浜DeNAが2年連続で“CS下克上”を果たした。1勝1敗で迎えたCSファーストステージの第3戦は横浜DeNAが阪神の先発、能見を攻略するなど打線が10安打6得点を奪い6-1で快勝した。

 その裏にあったのが、雨上がりで外野の芝が濡れ、打球が走らないなどの甲子園の当日コンディションを十分に考慮して積極的に仕掛けた走塁だった。
 先陣を切ったのは「相手にプレッシャーをかけれる」(ラミレス監督)という目的で、第2戦に続き、2番に起用された梶谷だった。一回、先頭の桑原が四球で歩くと、梶谷は、ライト前ヒットでつないだ。ロペスのレフト前ヒットで、桑原が先制ホームを踏んだが、このとき、梶谷も一気に三塁を陥れたのだ。

 長さ10ミリに整えられている甲子園の外野の芝だが、午前中まで降っていた雨に濡れて“重馬場”になっていた。打球が、からまり転がらない。レフトの福留も、濡れた芝で足がスムーズに動かず、チャージもままならなかった。その隙を梶谷が逃さなかった。

 試合後、ラミレス監督は「外野が濡れていたのを梶谷が見逃さずに突く素晴らしい判断だった。選手は、こういう状況で何をすべきかをわかっている」と、手を叩いたが、再び一、三塁としたことで、阪神バッテリーにプレッシャーをかけ、一死満塁となってから、嶺井の2点タイムリーにつなげた。

 甲子園の濡れた芝を利用した好走塁は、追加点も生み出す。
 4回だ。
 3番手の岩崎から打った先頭の倉本の打球は、外野を抜けることはなく、センターのやや右へ。だが、倉本は迷わず一塁ベースを蹴った。これも打球が転がらず、本来ならば、ワンヒットの打球を雨上がりの甲子園を逆手にとって二塁打にしてしまったのだ。内野も、阪神園芸が、完璧に仕上げてくれていたが、その黒土は、まだ水を含んで湿っていた。続く桑原にはバントをさせて三塁へ送った。ゴロが止まりやすい土のコンディションを考慮してのラミレス采配だった。また阪神バッテリーに“パスボールのできない”プレッシャーをかけ、梶谷がタイムリー、ロペスのダメ押し2ランを呼び込み、6-0と勝負を決めた。

 ラミレス監督が就任した昨年の春季キャンプを視察した阪神のスコアラーは、「中畑体制と違って走塁などに緻密な野球をやろうとする意図が見える。これからの横浜DeNAは変わってくるかもしれない」と警戒していたことを思い出す。横浜DeNAの野球は、相変わらず凡ヘッドや隙も目立ち、まだまだ未完成である。だが、大事なCS決戦で、雨上がりの甲子園を味方につけた積極走塁が、勝敗を分けた。

 元巨人の足のスペシャリスト、鈴木尚広氏が、「短期決戦では、機動力は、諸刃の剣。成功すれば流れを引き寄せるが、失敗すると、勢いが止まる。どう生かすかはベンチ次第」と、語っていたが、横浜DeNAは、その機動力で、勢いを引き寄せることに成功した。まさに走攻守がひとつになっての“下克上”だった。