プロ野球でも希少価値のサブマリン、専大・高橋がドラフト候補として急浮上している

1週間後に迫ったドラフトで複数球団から注目を集めている異色の逸材がいる。山田久志(元阪急)〜牧田和久(西武)の系譜に連なるであろうパワー型のアンダースロー、“東都のサブマリン”こと専大・高橋礼だ。

 現在のプロ野球では、牧田、山中浩文(ヤクルト)、青柳晃洋(阪神)らだけの絶滅寸前となっているアンダースローだが、高橋は、下手投げでは、剛速球レベルに値する最速141キロを計測。コンスタントに球速が出て、身長が188センチもあり、そのリリースポイントが、打者の手元まで来るような錯覚に襲われる投手とくれば、その希少価値は否が応にも増してくる。

 西武の渡辺久信SD兼編成部長も「ウチの牧田と似てるけど、牧田よりもボールの力がある」と、その実力を認めているほどだ。既に10球団から調査書が届いており、ソフトバンク、西武、阪神など、最大11球団が高橋に関心を寄せている。

 スカウト陣に向けて最後のアピールの場となる秋季リーグ戦。10月10日の青学1回戦では、惜しくも公式戦初完封こそ逃したものの、単打のみの散発5安打。1年の秋以来2度目の2試合連続完投勝利を、自身初の2ケタ10奪三振&同最少108球の省エネ投球で飾り、高橋株も急浮上。この日は、阪神、ヤクルトなど、計8球団のスカウトが集結していた。
 大きめのテイクバックから、長身を器用に折りたたみ、地面スレスレの位置から浮き上がってくるアンダースロー独特の直球やカーブ。あるいは、そこからスッと沈むシンカーなどを操るサブマリンは、この日、最速138キロの直球を軸に、「渡辺俊介さん(元ロッテ/現新日鉄住金かずさマジック投手兼任コーチ)から、今リーグ戦直前に教わった」という「真っ直ぐに近い軌道から、打者の手元でフワッと浮き上がってくるカーブ」を効果的に使い、青学打線を翻弄した。課題の与四死球は、わずか1。好投しながら突如、制球難に陥るスランプに陥っていたときの姿は、もはやなかった。

 セ・リーグのあるスカウトは「素晴らしい。球速がいいときの状態に戻ってきた。以前に比べ、数段良くなっている」。またパ・リーグの某ベテランスカウトは「高低にきっちり決まって、ストライクゾーンで勝負できるようになった。制球もバラつきがなくなり、強いボールが投げられている」と評価していた。翌々日の同3回戦では、調査書未提出の日本ハムが、栗山監督や木田GM補佐ほか総勢7名で視察していた。

 専大松戸から、東都リーグの古豪・専大に入学した高橋は、2部だった1年秋に公式戦に初登板。後半戦では先発を任され、2試合連続完投の好成績を残すなど、チームの1部昇格に貢献した。翌春はオール救援登板で89年春以来、26年振りのリーグ優勝を果たしている。
 
 同年は、ユニバーシアードの代表チームに柳裕也(現中日)や田中正義(現ソフトバンク)らとともに選出され、史上初の金メダル獲得メンバーに加わった。
 この大会前に行われたNPB選抜との壮行試合では、4番手で登板。今季後半戦からブレイクした山川穂高(西武)を内角直球で二ゴロに仕留めるなど、1回を三者凡退。「プロ相手でも勝負できた」と、自身も納得の投球を見せて“プロ予行演習”を終えている。