[資料写真]愛知県を中心とする中部地方では製造業などが好調な経済をけん引している(ロイター/アフロ)

 安倍政権が2012年12月に発足して約5年経ちました。そのときの衆院選は「日本を、取り戻す」を掲げ、公約では「経済」「教育」「外交」「安心」の再生を訴えました。政策によって日本はどのように変化したのか。“再生”はできたのでしょうか。安倍政権5年を検証します。

 今回は日本のモノづくりの中心地である中部地方の現場の声から、この5年間の「経済」の実情や課題を見ていきましょう。

モノづくりの見本市は盛況

 選挙戦も最終盤に差し掛かった10月18日から21日にかけて、名古屋市内で工作機械などの見本市が開かれました。

 国内外の450社以上が出展する国内最大級の工作機械展で、会場には平日も人がびっしり。自動車部品を削り出す大型機械やロボットの実演コーナーには人だかりができ、航空宇宙産業など最新技術のブースにも熱い視線が注がれていました。いかにも、この地域のモノづくりの安定した強さを感じさせる光景です。

 「この5年? 仕事は増えたよ。でもうちは中小だから人は簡単に増やせず、追いつかないね」。名古屋市内で自動車工場向けの検査装置などをつくるメーカーの担当者は、こう苦笑いしました。

 東京から出展した航空機用の工具部品メーカーの担当者も「愛知県や岐阜県は今、航空機産業が全国的にも集中している地域。国産のMRJだけでなく、海外のボーイングやエアバスから部品加工を受注している下請け企業にも次々に声を掛けてもらえる」と忙しそうでした。

生産額や求人は好調だが……

[表]全国と上位5都道府県の製造品出荷額の推移(愛知県県民生活部統計課・平成28年経済センサス−活動調査産業別集計<製造業・概要版>から)

 製造業を中心としたこの地域の好調ぶりは、各種の統計でも見て取れます。

 愛知県の県内総生産(GDP)は2007年に38兆円に迫り、リーマンショックで09年には32兆円台へ落ち込みましたが、その後は急回復。12年に34兆円、14年には約36兆円にまで盛り返しました。全国一をキープし続けている製造品出荷額も2011年から一貫して伸び、15年は46兆円と他の都道府県を大きく引き離しています。

 有効求人倍率は5年前の愛知県で1.15倍(愛知労働局、2012年8月分データ)。岐阜、三重、静岡を入れた東海4県の平均では0.96倍にとどまっていましたが、その後は愛知、岐阜、三重で常に全国平均を上回る改善を示し、直近は愛知県で1.82倍、東海4県でも1.73倍と全国より0.2~0.3ポイント高くなっています。失業率もこの間、常に全国平均より0.5ポイント前後低い、良好な水準で推移してきました。

 一方、賃金は東海3県で月ごとの変動が大きく、平均してみると横ばいで推移する中、所定内給与が持ち直すなどの動きがあります(三菱UFJリサーチ&コンサルティング、グラフで見る東海経済・2017年8月)。

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