写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 9月は、好投したかと思えば、次の試合でKOされたヤンキースの田中将大。レギュラーシーズン最後の登板 ── 9月29日のブルージェイズ戦では、7回を3安打、無失点に抑え、15三振を奪ったが、プレーオフでは4試合目まで先発機会がなかった。それはその時点での信頼度を如実に物語っていた。

表1:田中将大 回転数 / 横の動き / 縦の動き

 しかし、プレーオフ3試合では、20イニングを投げ、10安打、2失点、18三振、3四球、防御率0.90。シーズン序盤の課題だった被本塁打はゼロだった。

 おそらく、ヤンキースがワールドシリーズに出場していれば、ローテーションを考えても、初戦のマウンドを託されていたのではないか ── その時こそ、首脳陣の絶対的な信頼を背に。

 では、安定の背景にはなにがあったのか。

 プレーオフを含めた直近4試合と、9月に打ち込まれた2試合を比較すると、回転数、横の動き、縦の動きなど、球質そのものにさほど変化はない(表1)。

表2、表3

 しかし、制球力には違い見られた。例えば、左打者に対する攻め。9月22日、スプリットは外角低めに制球されているが(表2)、スライダーが高い(表3)。しかも、バックドアのスライダーがストライクゾーンに入ってこないので、見逃される。仮に外角のスライダーがもう少し低ければ、スプリットなのかスライダーなのか見分けがつかず、相手打者は戸惑うはずだが、その相乗効果も期待薄だ。

表4,表5

 一方、最後の4試合を見ると、こういう結果になった。

 表4、5を見ると、スプリット、スライダーとも正確に外角低めにコントロールされていることが分かる。

 となると相手は、球種の見分けがつかないのではないか。田中ということを考えれば、相手は基本的にスプットをイメージする。しかし、同じようなコースから手前に曲がってくる。相手がスライダーを意識し始めれば、スプリットがさらに生きる。

 左打者に対してはとにかくこの外角低めの攻めが有効で、この4試合で左打者にスライダー、もしくはスプリットをヒットにされたのは、わずか2本だった。

 ところでこのポストシーズンの好投により、図らずも様々な憶測を招くこととなった。