“月9”『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』

 篠原涼子が主婦から市議会議員となって奮闘する“月9”『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』(フジテレビ系)がいよいよ23日スタートした。いよいよ、というのは、衆議院議員選挙のため当初の予定より1週延期されたからだ。

【連載】新番組レビュー

唐突な設定だが、政治に興味を抱くきっかけ狙う? 篠原の活躍は2話以降に期待

 平凡な団地暮らしを送る佐藤智子(篠原)と夫の公平(田中圭)、息子の駿平(鳥越壮真)。一見、幸せな家庭生活を送っているように見え、夫婦にはある欠点が。業務上、納得いかないことがあると、つい逆らってしまう。そのため、すぐ仕事を解雇される。今回は夫婦同時に仕事を失い、大ピンチ。智子が求人情報を当たっていると、居住地の市議会議員の当選率が8割以上と知り、議員年俸にも惹かれ立候補を決意。なけなしの貯金50万円で選挙に身を投じる。当たって砕けろのぶっちゃけた選挙活動が功を奏し、なんとか当選。晴れて議員となった智子を、いかなる事態が待ち受けるのか。いささか唐突な設定だが、そこがこのドラマの真骨頂なのだろう。国会ではなく市議会議員という距離感は、より庶民の日常生活に密着した話題を取り上げることができる。これを観て政治に興味を持つ人も、いるかもしれない。

 安定の篠原涼子。ややくたびれた感のある主婦から、ビシッとしたスーツに身を包んだ変身ぶりには、「おぉ、カッコいい篠原、降臨」と感じさせられる一場面はあるものの、1話を観る限りは可もなく不可もなしといった印象。魅力ある人だけに、もっと弾けて欲しいところ。2話以降に期待したい。
 

高橋一生がミステリアスに演じる、二面性のあるサラブレッドが気になる

 一方で、智子(篠原)と同じ市議会議員選挙を戦い難なく当選する、代々続く政治家一族の次男・藤堂誠役の高橋一生がいい感じ。いまノリにノッている俳優。役どころは、二面性のあるサラブレッド。この藤堂、裏ではデリヘル嬢を頼んでいるのだが、その遊び場として借りていると思われる薄暗い古アパートには家財道具の類が乏しい代わりに高価な三脚がわざとらしく置かれ、ベッドのヘッドボードにはペンタックスの中判フィルム一眼レフに、ライカやソニーのデジタルカメラが並べられている。素人が持つには不自然な、プロ好みあるいは通好みの機種だ。しがない貧乏カメラマンを演じているのか、それとも本当はカメラマンにでもなりたかったのか。表情もどこか悲しさと憂いをたたえている。少なくとも、敷かれたレールの上を歩むだけの人生に疑問を感じているのは確かなようだ。しかしあくまで表の顔はシャキッと爽やかで笑顔の明るい青年政治家であり、そのギャップが実に見事で、いったいどんな事情や心情の持ち主なのか興味をそそられる。選挙戦の最中に出会った智子に、好感を持っているようなフシもある。

 智子のママ友で元政治部記者役に石田ゆり子、いかにも本当にいそうな市議会のドンに古田新太、市議会議員に立候補した元グラドルに前田敦子、ほか千葉雄大ら、共演陣も粒ぞろいだが、十分その魅力を放つことができるかどうか。

 近年、苦戦が伝えられることの多い月9だが、前クールの『コード・ブルー』は久々のヒット。その直後となる今作が成功すれば、月9復活ともいえそうだ。平凡な主婦が突然議員になって市政や社会悪と対決する大胆な設定は一つの賭け。起死回生なるか。

次も観たい度
★★★☆☆

(文・志和浩司)

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