このところ、企業のトップを退任した人が顧問や相談役などの役職に就くことに対する批判の声が高まっています。東証は上場企業に対して、顧問制度の内容などについて情報開示するよう求めており、来年から運用を開始する予定です。日本企業の顧問制度とはどのようなものなのでしょうか。

写真:アフロ

 東証の意向を受け、みずほフィナンシャルグループは早速、自社の顧問制度の概要について公表しました。同社には相談役という制度はありませんが、元代表取締役社長など重要な役職の経験者を顧問にするケースがあるとのことです。

 現在、7名の名誉顧問が在籍しており、経済団体活動や社会貢献活動などに従事し、報酬はなく、経営には関与しないと説明されています。ただし、自社にとって非常に重要な対外活動を担う場合には、2000万円を上限に報酬を支払うことがあるそうです。

 今後については、常任顧問には社長またはカンパニー長経験者のみが就任できるものとし、任期は66歳までとします。その後、社長経験者の場合には名誉顧問に就任することが可能となっています。

 東証からの要請があったとはいえ、こうした情報を率先して開示する姿勢については評価できますが、制度の概要を見ると、報酬は発生していないものの、顧問制度を持続させたいとの意図が強くにじみ出ていることは否定できません。

 日本は欧米各国と異なり、企業は株主のものではなく、従業員のものという意識が強いといった特徴があります。したがって企業のトップを株主が決めるという慣習にはなじめないところも多く、そうした企業はたいていの場合、従業員がそのまま昇格してトップとなります。

 そうなってくると、経営者になっても、従業員だった時の上下関係がそのまま維持されますから、自分より年次や役職が上だった人に、あれこれ指示しにくいというのは当たり前かもしれません。同様に社長は株主から全権を委任され、すべての責任を負っているという認識が薄いですから、意思決定に際しては、社内のコンセンサスを得なければなりません。こうした時には、顧問や相談役などの存在が必要となるわけです。

 このところ企業の不祥事が相次いだことで顧問や相談役などについて批判の声が高まっていますが、これが日本型経営の産物であるとすると、そう簡単にはなくならないでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

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