選挙制度見直し「せめて議論を」

 中野教授は、今回の選挙での民進党の分裂騒動が、政治家の政策的な立ち位置をはっきりさせた役割もあったとみます。一方で課題がたくさん明らかになった選挙ともいいます。

「立憲民主党はリベラル色をはっきりさせたことで、躍進したが、戦後の最大野党としては一番少ない議席数であることには間違いない」。現行の選挙制度が、96年の導入から20年以上経過し、「自民党支持者を含め、多くの人が、政治が劣化したといっている。小選挙区制のひずみが明らかになってきたので、広く国民の中でこの制度でいいのか議論するべき」と提起します。

「個人的には、比例の結果で全体の議席を配分する中で、小選挙区で選ばれた議員が優先的に当選するドイツやニュージーランドの『小選挙区比例代表併用制』の仕組みがいいと思うが、中選挙区に戻す方がいい、現行のままでいいのかなど、せめて議論を始めないといけない。過度に小選挙区に依存し、比例的配分が無視されているままでは、混乱は続いていくと思う」

 実際に有権者の政策への支持と選ばれている政治家の政治的立ち位置がねじれを起こしていると懸念します。「当選した衆院議員の8割が憲法改正賛成という報道があるが、世論調査ではどうみても8割の賛成はない。ほかにいないからという理由で安倍内閣を消極的に支持していても、安保法制や共謀罪など政策では反対している人の方が多いということが、たびたび起こるのは健全な状態ではない」

 中野教授は「多様な社会の実態、多様な意見がある今の社会に、2つの選択肢のどちらか選ぶという簡単な時代ではない。意見の違いや多様性を国会の場に出さないようであると有権者にとって分かりにくい政治となってしまう」、「政治家の方が有権者離れを起こしてしまっている」と有権者本位で政策議論がなされない現在の状況を問題視します。

「少子高齢化、財政難、医療や年金をどうしていくのか。安全保障の問題もかなり突っ込んだ議論を冷静にしなくてはならないのにそうならない。間接民主主義の原点に戻れば、代議士は私たちの代わりに議論する人であり、私たちの声をできるだけ正確に反映する人に託すべき。今回の選挙結果が議論のきっかけにならないと、また時間を無駄にしてしまう」と警鐘を鳴らします。