ソフトバンク2位指名の高橋礼は球界でも絶滅寸前の異色サブマリンだ

最速141キロのパワー型サブマリン・専大の高橋礼が、ソフトバンクからドラフト2位で指名された。球界で絶滅寸前となっている本格派のアンダースローである。
 
その瞬間、笑顔が弾けた。

ドラフト2巡目「阪神、高橋…」の名がコールされ、思わず会場がどよめく。
 しかし、同じ東都の亜大・高橋遥人投手だったことが判明。一瞬、雰囲気が緩んだ直後、間髪入れずソフトバンクからの指名に、今度こそ歓喜に沸いた。

サブマリンにソフトバンクの印象を尋ねると「(指名が来るとしたら、練習から熱心に視察していた)ソフトバンクか、阪神だと思っていました。競争が激しく、意識の高いチーム。それに負けないよう強い闘争心を持ちたい」。
 大方の予想を覆すドラフト2位という上位の評価に、さぞビックリしたかと思いきや、「早ければ、2巡目だと思っていたので、その通りになってホントに嬉しい」と、いつもの飄々とした笑顔で答えた。

 ソフトバンクの本拠地、福岡には「今まで行ったことがない」と言うが、「ごはんがおいしくて、"九州の東京"というイメージ。(中洲や天神など歓楽街も多いので)遊ばないように気をつけたいです(笑)」と周囲を笑いに包んだ。

 「今春までダメで、この秋の復調がどう評価されるのか(不安で)眠れなかった」という。
大学2年時にはユニバーシアードに選出されるなど、順風満帆だったが、昨春、以降は、四死球などで突如制球を乱して大量失点という悪循環に陥る大スランプ。同秋以降は、ついに白星にさえ見放された。
さらに今年6月の1部2部入替戦の立正大戦では、7回途中までノーヒットノーランと、完璧な投球を見せながら四球で出した走者をキッカケに一挙に5失点するなど、自らの責任で1年秋以来となる2部降格の憂き目にも遭った。
 入替戦終了後、齋藤監督と二人三脚のフォーム改造に取り組み、制球が安定するようになった。走者なしでも、セットポジションから「軸足にしっかり体重を乗せて、タメを作る」フォームで臨んだ今秋の大学ラストシーズンでは、1年の秋以来2度目の2試合連続完投を含む自己最多の5勝をマークした。

 課題の四死球は、率で2.39と今春の5.68から大きく改善。制球難を克服した。
身体の軸が安定したことにより、課題だった真っ直ぐの質が変わった。アンダースロー特有の浮き上がってくる直球を主体に、カーブやシンカーなどの変化球を駆使して“緩急”をつけた。奪三振率の大学キャリアハイの7.91と大幅にアップさせた。

 そんなサブマリンが、誰よりも手本にしているというのが、同じく下手投げの西武の牧田和久だ。牧田には、今オフFA移籍の可能性があるが、西武に残留すれば、同じパ同士。競演の可能性もある。
だが、「投げ合うよりも、(ベンチから)近くで見てみたいですね。実際に見て、いいところを盗んで自分のモノにしたい」と、目を輝かせた。

 対戦したい打者には、2年目の今季楽天のトップバッターとして定着した茂木栄五郎の名前を挙げた。

「(2年時の)大学日本代表で一緒になったのですが、そのときから大学No. 1の打者だなと思っていました。得意の真っ直ぐで勝負したいですね」

 ソフトバンクでは、先発ではなく、中継ぎを希望している。ここでも、頭にあるのは西武、牧田の成功パターンだ。

「できれば、牧田さんみたいに中継ぎでやりたいけど…先発でもどこでも1軍でしっかりとシーズン通して活躍して新人王を狙いたい」
 1年目の目標を高らかに掲げた。

 ソフトバンクの投手陣は、先発、中継ぎ、抑えと、どのポジションも入り込む余地がないほど充実している。だが、高橋には、他の誰にも真似のできない、アンダースローという武器がある。工藤監督がクジで、清宮、安田、馬場と3人も外したドラフトは高校生主体の育成型ドラフトとなったが、高橋には即戦力としての期待がかかる。

 (文と写真・徳吉刑事/スポーツライター)

この記事が気に入ったら「いいね!」をお願いします