伊奈かっぺい(撮影:志和浩司)

 地方タレントの草分け的存在とも言えるマルチタレントの伊奈かっぺいさん(70)。失礼を承知で言わせてもらえば、その名前からして、おやじギャグのようなダジャレのような強烈なインパクトを受ける。10月4日にレコードデビュー40周年記念盤のCD「腹這いのララバイ ~40年目の落書き~」を発売した。

 自分で書いた色紙、本、CDなどをネタに、ことば(津軽弁)にまつわる爆笑トークを繰り広げるコンサートは、「若い世代から方言が消えつつある昨今、津軽弁が楽しい」、「子どものころ親が聞いていた。就職し転勤族になってから久しぶりに聴くと、おやじギャグの底に流れる哀愁と郷愁をほのかに感じる」と好評だ。

 

トークネタの発想は「腹這い」で

 「腹這いのララバイ」とは、とても不思議なタイトルだ。

 「今回のアルバムのタイトルにもなっていますが、年取ると朝はやく目がさめるとそれっきり眠れなくなる。無理して寝ようとせず枕を胸にあてて腹這いになって思いついたことをなんでも落書き、メモしていく。それを並べていったのがこのネタ」

 「憎(肉)まれっ子、魚しょっちゅうだから」など、できるだけバカなメモを書いているうちに、だんだん眠くなってくればこれ幸いと眠ればいいわけだし、だんだん頭が冴えてきたら、ずっと冴えたまま起きていればいい。腹這いになって書いているうちに眠くなってくる、こういうのを「腹這いのララバイ」というそうだ。

 青森放送に勤めていたというが、どういった経緯でレコードデビューしたのだろうか?

 「もともとは毎日書いてた日記、欄外に書いたバカみたいな話をまとめて本をつくって、それをたまたまラジオで朗読したのを皆さんが聞いてくれて、レコード出しませんかっていうのが40年前でした」

 社員時代は美術部やCM部、ラジオ制作部に渡りさまざまな番組を制作を担当。その一方で詩集「消しゴムで書いた落書き」の発表や歌手、ラジオパーソナリティーなどまさにマルチな活躍をしている。何か文学作品を書こうと思ったことは一度もなくて、何か思いついた楽しいことをメモっておこうという繰り返しだったという。

 「それだけなんですよ。せっかくの楽しいことを忘れるのがもったいないので。気張って書いたものはひとつもない。文学も芸術もない関係ところでずっとやってきたんで、非常に軽いんです(笑)。重いところがなんにもない」と話す。

 2017年3月12日に東京よみうりホールにてライブ録音された同CDを聴いてみると、アコースティックギターの伴奏に、コロコロと気持ちよく滑り転がるような津軽弁の響きがとにかく心地いい。伊奈さんがポソリとギャグを放てば、客席からの大笑いの声が沸き起こる。

 「へそまがり」は「腹が大家で、へそが間借りしていること」、と一瞬考えさせられる高度なギャグや、「腰の低い人ってどんな人?」には「脚のみじけ人のこと」などわかりやすいものまで、緩急さまざま。津軽弁になじみのない人が聴けば、どことなくかわいらしい響きの中に温かさを感じ、地元から離れて暮らす人が聴けば、懐かしさと優しさを感じ、青森県人の自虐ネタに大爆笑することだろう。

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