日本人が保有する海外の資産が何と1000兆円を突破したようです。なぜ日本人は海外にたくさん資産を保有しているのでしょうか。

写真:アフロ

 財務省が発表した2017年6月時点における対外資産の総額は990兆円でした。その後も対外資産の額は増加していますから、すでに1000兆円を突破している可能性が高いと考えられます。

 海外の資産の中でもっとも比率が高いのは証券投資です。具体的には米国債ということになるでしょう。日本は輸出で稼いだ外貨の多くを米国債に投資しており、こうした投資によって得られる収益は、10年以上前から輸出で得られる収益を上回っています。日本が輸出大国だったのは昭和の時代の話であり、日本はすでにお金でお金を稼ぐ投資立国となっているのです。

 過去10年は証券投資に加えて直接投資の伸びが顕著でした。これは日本の製造業が海外に生産拠点を移したことが原因です。海外に現地法人を設立し、その会社に投資するという形になりますから、直接投資の金額が増加するわけです。国内では輸出がなくなると日本が儲からなくなるという話がよく議論されますが、実際はそうではありません。現地法人からの配当やロイヤリティなどが入ってきますから、日本国内にお金が帰ってくるのは同じです。それがモノの売買(輸出)による収入なのか、配当収入なのかという違いに過ぎません。

 ただ、ここ1~2年は直接投資の伸びが鈍化し、再び証券投資が拡大しています。背景にあるのは量的緩和策による低金利です。

 日銀が大量に国債を買い入れる量的緩和策によって金利が低下し、国内の金融商品では利回りを確保することができません。一方、米国は順調に経済が成長しており量的緩和策を終了。その後は、金利を引き上げるモードに入っています。日米では大きな金利差がありますから、当然、マネーの多くは高い金利を求めて米国に流れることになります。これが日本の海外資産を増やしているわけです。

 稼いだお金を外国で運用することについては批判の声もありますが、日本はもともと輸出大国であり、外国に製品を輸出した企業はドルでお金を受け取るのが当たり前です。余剰の資金は結局、運用に回すわけですから、受け取ったドルをわざわざ日本円に変えるのは非効率であり、そのまま米ドルで運用する方がよいとの考え方もあります。

 また海外の運用益で稼ぐということは、海外に労働してもらってお金を稼ぐということですから非常に効率のよい話です。日本は海外からの投資収益があるうちに、国内ではもっと付加価値の高い産業の育成に力を入れるべきでしょう。

(The Capital Tribune Japan)