ITと金融サービスを融合した「フィンテック」の取り組みが金融業界で進む。AIを使った個人向け融資サービス「AIスコア・レンディング」を展開するのは、みずほ銀行とソフトバンクの合弁会社・Jスコア(東京都港区)だ。AIを使うことで、従来のサービスと何が違うのか、そして利用者にはどのような利点があるのか。同社執行役員経営企画統括の手嶋高史氏に話を聞いた。

執行役員経営企画統括の手嶋高史氏

 AIを使わない従来の個人向け融資サービスでは、大企業の社員や、30、40代の地位が高く、収入が安定した人が利用者の中心だった。これに対し、Jスコアが主要ターゲットするのは、MBA取得など自己のスキルアップ投資に熱心な20代および30代だ。

 「20代で社歴が浅いと、まだ年収が低い場合が多いので、金利は高く、極度額は低くなります。収入のない学生の場合は、借り入れそのものが困難です」と手嶋氏は話す。将来の活躍が見込まれるが、今はお金がない若者の自己投資のサポートを目指すという。

 対面の融資サービスでは、利用者から、年収や勤め先、持ち家の有無などの情報を収集し、人間が金利や借りられる上限の金額(極度額)を審査する。しかし、同社のサービスは、人間ではなくAIが審査する。ここが従来と大きく異なる点だ。

 利用希望者は同社サイトにアクセスし、年収、会社の規模、住居の種類などの基本的な情報をチャット形式で入力する。入力情報をもとにAIが点数を算出し、貸し付けの金利や極度額を示す。点数が高ければ高いほど、金利は低く、極度額は高くなる仕組みだ。

 AIには、親会社のみずほ銀行が蓄積した融資に関するノウハウを学習させ、審査精度の向上を図った。利用者の年齢と平均年収から将来の年収を予測し、社歴の浅い20代社員であっても、従来よりも比較的好条件で借りられる可能性があるという。

 先に入力した基本的な情報に加え、追加で6カテゴリー(「生活」「情報連携」「性格」「ウォレット」「ファイナンス」「プロフィール」)の設問に答えれば、点数が増えて融資条件がさらに良くなる。

 「生活」を選ぶと、「普段読む新聞は?」「お持ちのゲーム機を全てお選びください」など、「性格」のカテゴリーでは「相手のミスがいつまでも気になる」「断りなく他人に自分の物を勝手に使われると腹が立つ」という、一見、融資とは関係なさそうな設問が現れる。こうした設問は150問用意されている。従来の金融機関が利用者に尋ねてこなかった内容だという。