トランプ米大統領はFRB(連邦準備制度理事会)の次期議長にジェローム・パウエルFRB理事を指名しました。イエレン議長は1期で退任することになります。パウエル氏はどのような人物なのでしょうか。

次期議長に指名されたジェローム・パウエルFRB理事(写真:ロイター/アフロ)

 近年、FRB議長は2期8年で退任するケースが多く、当初はイエレン氏ももう1期議長を務めるとの観測が大半でした。しかしトランプ氏が大統領に就任したことで状況が変わりました。トランプ氏は自身に近い立場の人物を登用する傾向が強く、その点からするとイエレン氏はどちらかというとリベラル派でトランプ氏とは少し距離があります。

 ただFRBは基本的に中立的な立場で金融政策を決定する組織ですから、大統領に近すぎる人物を議長にすることも好ましくありません。パウエル氏はFRBの理事で、イエレン氏が行ってきた金融政策を熟知しています。しかもFRB執行部の中では共和党の主流派にもっとも近い人物です。いわゆるトランプ氏のファミリーというわけでもありませんから、その点では最適な人物の一人とされてきました。

 パウエル氏の専攻は法律で金融政策の専門家ではありませんが、投資ファンドの共同経営者を務めるなどウォール街での実績を持つ実務家です。前任のイエレン氏やバーナンキ氏は学者出身ですから、FRB議長にはこうしたアカデミックなタイプの人が就任するというイメージを持っている人も多いかもしれませんが、歴代の議長を見ると学者出身者はむしろ少数派です。実務家が議長に就任するケースは多く、その意味では従来型のトップ人事と考えることも可能です。

 パウエル氏はFRBの理事としてイエレン氏と共に仕事をしてきましたが、イエレン氏の方針については大半を支持してきました。FRBはすでに出口戦略に入っていますが、金利の引き上げは慎重に進めるというイエレン氏のスタンスが踏襲される可能性が高いでしょう。イエレン氏とパウエル氏の最大の違いは金融規制のあり方です。イエレン氏は金融機関の暴走を防ぐため規制強化には積極的でしたが、パウエル氏は規制緩和論者と言われています。

 イエレン氏の金融政策が踏襲され、しかも規制緩和に積極的ということですから、市場関係者は今回の人事を歓迎しています。場合によってはもう一段の株高もあり得るかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

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