ヘビーアジア2冠の藤本京太郎の右ストレートが挑戦者の顎を打ち抜いた(写真・山口裕朗)

OPBF東洋太平洋&WBOアジアパシフィックヘビー級王者、藤本京太郎(31、角海老宝石)が4日、後楽園ホールで行われた東洋太平洋同級4位のランドール・レイモント(31、豪州)とのタイトル戦を5回2分50秒KO勝利で飾り“2冠”を守った。京太郎は世界戦を熱望しているが、急浮上していたWBOヘビー級王者、ジョセフ・パーカー(ニュージーランド)との世界戦も実現には1億円以上の資金が必要で暗礁に乗り上げている。

 ランドール・レイモントは、MMA(総合格闘技)出身とあって両手を高く掲げて構える変則スタイルでプレッシャーをかけてきた。おまけに身長、体重で上回られているとあって「やりづらかった。懐も深かった。思ったよりパンチもあった」と京太郎は言う。
 
 ただボクシングに関しては、まるで素人。パンチはすべてオープンの“猫パンチ”でスピードもない。ときおりホールに失笑さえ起きた。
 
 それでも京太郎は、慎重に距離をとりステップを踏みながらガラ空きのボディにいいショットを何発も当てるが、豪州からきた使い古しのトランクスをはいた総合ファイターは、どこ吹く風。ボディは、ぶよぶよだったが、「1、2発だけ効いたかな。あとはたいしたことなかった」。

 レベルの差は明らかだった。だが、過去最軽量の101キロで臨んだ京太郎は、「体調が悪くて動けなかった」となかなかスイッチが入らない。3回にはロープに押し込められ、ワンツーを浴びてポイントを奪われる場面も。勝負を決したのは5回。京太郎が右ストレートで勝負に出た。カウンターの右が顎を砕く。豪州人が、ぐらぐらっと、よろめいたところを見逃さず、止めの右。ヘビーらしい迫力満点のKOシーン。挑戦者は起き上がってきたが、レフェリーはテンカウントを数えた。

「最後に当たったの何ですか? KOで勝てて良かった」

 陣営は、WBO世界ヘビー級王者、パーカーの対戦相手として京太郎の名前が出てきたことで、この試合を“世界前哨戦”としていた。それにしては、MMAで7勝2敗、ボクシングで8勝(3KO)3敗のキャリアを疑うほど、お粗末な相手だった。本来ならば課題の出るような骨のあるランカーと組むべきだったが、世界を前に、決して足踏みをできないことを考えるとマッチメイクも難しかったか。

 KOで敗れたレイモントの控え室で、京太郎について聞く。

「距離感が上手いボクサーだったな。最後の右は効いたよ」

 ――パーカーと京太郎の世界戦をどう思う?

「いい試合になるんじゃないか。ヘビーの試合はどうなるかわからない。誰が勝ってもおかしくないんだ。そういう意味で京太郎にもチャンスはある」

 社交辞令半分だったかもしれないが、レイモントはそう答えた。

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