写真:田村翔/アフロスポーツ

 最後の最後まで、セレッソ大阪の結束力は乱れなかった。川崎フロンターレに試合を支配されるのは想定内。ゆえに決して動じない。肉を切らせて骨を断つ、とばかりにゴール前の肝心要な部分で攻撃を食い止めては、乾坤一擲のカウンターを仕掛け続ける。

 前売り段階でチケットが完売した埼玉スタジアムで行われた、4日のYBCルヴァンカップ決勝。ともに初タイトルをかけた激突は、2‐0の完封劇とともにC大阪に凱歌が上がった。もっとも、勝者のゲームプランは、開始わずか47秒でいい意味で崩れている。

川崎のDFエドゥアルドが空振りしたボールを、すかさず拾ったFW杉本健勇がゴール右隅へ先制弾を突き刺した。もちろんゴールはほしい。それでも、あまりにも時間が早すぎたと、試合後の公式会見で尹晶煥(ユン・ジョンファン)監督は苦笑いした。

「前線の選手たちが高い能力をもっているので、もっとボールを保持しながら試合を運ぶことができればと考えていた。ただ、思ったより早い時間に得点できて、気持ちもはやってしまったのか。単発性の攻撃が多くなり、自然と守備に切り替えるしかない状況になった」

 C大阪の最終的なボールポゼッション率は33%。川崎に終始圧倒される展開は、ピッチ上の選手たちが先制点と引き換えに、割り切った戦い方を選択した結果だった。脳裏には1‐5の惨敗を喫した、9月30日のリーグ戦が色濃く刻まれている。

「川崎の選手の一人ひとりの位置や、こっちの間を取る感覚というのはつかみづらい。正直、崩されているシーンは普通に見ればあった」

 この日も翻弄されたと振り返るMF清武弘嗣は、自分のいる左サイドを対面のMF家長昭博、DFエウシーニョが狙ってきていることが「すぐにわかった」と続ける。

「僕をずっと押し込んで、(低い位置から)攻撃させておけばパワーが減ると思っていたのか。なので、割り切って守備に専念して、あとはカウンターを狙おうと」

 大歓声のなかでは、ベンチからの指示は通らない。それでも清武を含めたピッチ上の全員が意識を統一し、球際での体を張った勝負に集中させた原点をさかのぼると、開幕前のキャンプに行き着く。

この記事が気に入ったら「いいね!」をお願いします