月3万円ビジネス協会代表理事の前田敏之さん

 田んぼイベントを含め、これまで取り組んできた月3万円ビジネスの数は、15〜16種類。ウェブサイトを制作する「ウェブサイトDIYサポート」では、打ち合わせや実作業を含めて2〜3日で作り上げるほか、その後の維持運営は客自身で行えるよう、更新方法も教える。

 「私が生きている限り、メールでのサポートは永年無料。ただし、即対応はせず、こちらのペースで返信します」。行政書士や学童保育所など、近隣の比較的小規模な事業者から注文があり、以前の客が新たな客を紹介してくれるケースもある。

 「流しそうめんセットアップ」は、切り出したばかりの青竹を持ち込んで流しそうめんの準備をするサービス。友人に頼まれたのがきっかけで始めたのが、何度も取り組むうちに料金がもらえるようになった。価格は1回で3万円程度。

 変わり種の仕事としては、「糞土師(ふんどし)」と名付けて野糞を広める活動を行う元カメラマンの伊沢正名さんのマネージャー代行業がある。講演会の問い合わせやメールチェックなどの業務を担う。毎日仕事が発生するわけではなく、空いている時間を使って作業を行っている。伊沢さんからは、半年から1年分の仕事代をまとめて支払ってもらっており、月平均で1万円から1万5000円ほどになるという。

 この他、以前は無農薬で育てたサツマイモを、自作の焼きがまやリアカーを使って販売する「焼きイモビジネス」にも取り組んだ。

知り合いのつてで築約60年の古い一軒家を借り、1人で住む。

 これら月3万円ビジネスによって得られる収入は、数千円から数万円までさまざま。月々の合計収入は約6〜9万円。ということは、月に2〜3つのビジネスにしか取り組んでいない計算になる。年収としては80〜100万円ほどとかなり少なく感じるが、それでも十分暮らしていけるのは、月々の支出が5万円程度にとどまるためだ。

 前田さんは、今より多額の収入が必要になる状況にならない限り、この程度の稼ぎで十分だとと考えている。

 「必要以上にお金を持つことは豊かだとは感じません。それよりも、時間の余裕をたくさん持って、豊かに過ごしたいのです」。用事は、できるだけ1日に1つしか入れないよう努めている。時間に余裕があれば、たとえば人からの相談にも応じられるし、思わぬ急な誘いにも対応できるからだ。

 「仕事で忙しくなると、暮らしが雑にもなります」と前田さん。自転車で移動すれば良い近い距離を自動車で移動したり、自炊すれば良いのに外食したり。「時間がないとその穴埋めにお金を使いがちですが、わたしはたくさん稼ぐよりも、時間を使ってていねいに暮らしたいのです」

 収入を増やすよりは、むしろ支出を減らすために時間を使いたい。前田さんは今、キッチンを自力で改装中だ。外注するよりも支出が抑えられるほか、改装作業の技術が身につく。それが新しいビジネスに結びつく可能性があるが、「床板を張ることが、楽しくて仕方がありません」と改装作業自体も楽しんでいるようすだ。(つづく)

(取材・文:具志堅浩二)

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