4場所ぶり復帰の横綱・稀勢の里は勝てるのか( 写真:つのだよしお/アフロ)

 大相撲の一年納めの場所となる九州場所は、12日に福岡国際センターで初日を迎える。9月の秋場所は初日から白鵬、鶴竜、稀勢の里の3横綱が休場するという昭和以降初の非常事態となった。今場所も鶴竜が右足首負傷で欠場を決めたが、相撲ファン注目の稀勢の里が帰ってくる。
 
 秋場所は平成14年春場所の初土俵以降、初の全休。7月の名古屋場所、5月の夏場所は途中休場しており、九州は3場所連続休場からの再起の場所となる。

 稀勢の里は初場所で悲願の初優勝を飾り、6度目の綱取りを成就させて場所後に第72代横綱に昇進した。新横綱場所となった3月の春場所も優勝したが、13日目の日馬富士戦で痛めた左上腕付近と大胸筋の回復の遅れが、その後に大きな影を落とすことになった。

 今場所に向けての調整はここまで順調だ。10月の秋巡業は横綱昇進後、初めて完走した。巡業前には「朝から晩まで相撲のことを考えていた。復活するという気持ちで過ごしてきた。(九州場所は)15日間、土俵を務められるようにやるだけ」と決意表明し、若手の高砂部屋の朝乃山らを指名して精力的に稽古を重ねてきた。

 福岡入り後も大野城市の田子ノ浦部屋で 大関高安を相手に連日のように三番稽古を行ってきた。高安は右太ももを痛めて秋場所を途中休場。九州場所は初のかど番となるが、弟弟子の順調な回復は稀勢の里にとっても追い風になっている。力士会が行われた10月31日には「高安の調子がいいので当分は部屋で稽古できる。ほぼほぼいい感じ。これから右肩上がりに上げていかないと」と笑顔で話していた。

 高安との稽古では生命線となる左おっつけも全開だった。春場所の負傷後、出したくても出せなかった得意の左からの攻め。ようやく本来の力強さが戻ってきた。4日の朝稽古をアポなし訪問した元横綱北の富士氏も「体に張りがある。いいんじゃないか」と及第点。二所ノ関一門の連合稽古でさらに精度を高めていきそうだ。

 横綱は10番勝って勝ち越しといわれる。出場するからには最後まで優勝争いに絡むのが横綱の務めでもある。復活の目安となるのは最低でも10勝。復調が本物なら有力な優勝候補である稀勢の里だが、3度目の賜杯に向けての試金石となるのが、取りこぼしの許されない序盤だろう。

 初日に玉鷲、2日目に新小結の阿武咲と対戦する。玉鷲とは、通算9勝1敗で、その1敗は先場所の不戦敗なので、相性はよく、そう怖い相手ではない。問題は、初顔合わせとなる阿武咲だ。
 阿武咲は、稀勢の里との対戦を心待ちにしており、2日目の対戦が決まると、素直に喜びを表現した。先場所で史上初めて新入幕から3場所続けて2桁白星を挙げるなど乗りに乗っているが、稀勢の里と対戦することがモチベーションのひとつになっていたという。しかも、先場所は、日馬富士からは初金星もマークした。

 まわしを取られまいとする阿武咲に対して、稀勢の里が、得意の左から右まわしを取って、きっちりとした“横綱相撲”で勝てるか、どうか。その内容も含めた結果が、復帰度を計るバロメーターになるだろう。

 

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