プロ野球の主な兄弟プレーヤー今昔

 その質問を避けて通れないことは百も承知だった。

「お兄さんと同じリーグで戦うことになりますね」―。

 10月26日のプロ野球ドラフト会議。

社会人野球の日本選手権出場のために滞在中だった大阪・ミナミのハートンホテル心斎橋で巨人5位指名の連絡を受けた日立製作所の田中俊太内野手(24)は、「兄とは高校、大学も同じで、常に比較されてきたし、それは当然のこととして受け止めていきたい。まず、同じステージに上がれるように頑張ります」と静かな口調で答えた。

 4歳上の兄は、広島の田中広輔内野手だ。同じ右投げ左打ちの内野手で、東海大相模高―東海大から社会人(兄はJR東日本)というアマチュアの経歴も同じ。ドラフト時の触れ込みも「俊足好打の即戦力内野手」と同じで、今季4年目のシーズンを終えた兄は、堂々たるカープのトップバッターであるショートストップの地位を確保していて、打率・290,8本塁打、60打点、盗塁35の成績で、盗塁王のタイトルを取った。「タナ・キク・マル」の一角として広島のセ・リーグ2連覇の原動力となった。

 田中にとって、兄はどんな存在なのか。
「もちろん目指す目標ではあるけど、容易に野球のことを聞いちゃいけないというか。ずっと先を行っているので」。気楽に語ることすらできない。尊敬して止まない。大学出のタイミングでプロ入りを熱望して迎えた15年秋のドラフトで指名漏れした際には、「プロへの思いを、会社のために頑張るという意識に変えてやっていけば、自然と結果はついてくる」と励まされた。

 大卒から社会人経由でプロという、結果的に自分と同じルートをたどった兄の言葉を胸に、この2年間は基本の反復を徹底した。「日立製作所で基本を1つ1つ教えていただいた」。昨夏の都市対抗野球はレギュラーの二塁手で準優勝に貢献し、ベストナインに。今年10月には社会人のサムライ・ジャパンに選ばれ、アジア大会メンバーになった。ステップアップを果たせたのは、兄がいればこそだった。

 50メートル走は6秒フラットの脚力。それを生かした守備力。打撃センスもスカウトから高評価を受けた。根っこにあるのは兄同様に父正行さんの教えだ。「全力疾走。バットはしっかり振る。無駄なことをせず、基本的なことをしっかりやる」―。東海大相模で元巨人監督・原辰徳氏の1年後輩として甲子園にも出た父の言葉を忠実に守ってきたのだから、当然かもしれない。

 プロ野球界ではジンクスがある。

「兄弟揃っては一流になれない」

 事実、過去に数多くの兄弟選手はいるが、揃ってトップを極めたケースはあるにはあるが数少ない。

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