阪神異例のフロントトップ人事で何がどう変わるか?

阪神に激震が走った。阪神は6日、四藤慶一郎球団社長と高野栄一球団本部長ら4人の球団取締役員の退任、代わって甲子園の球場長を8年間務めた揚塩健治氏の社長就任、谷本修常務兼広報部長の球団副社長兼球団本部長への異動を発表した。編成部門では谷本氏を補佐するために嶌村聡氏が取締役に昇格し広報部長兼球団本部副本部長に就任する。これらの人事は12月1日付けで発令される。
 
 来年以降に向けたチーム編成のベースとなるドラフト会議が終わり、ここからFA、外国人補強などが始まる重要なオフの時期に行われるトップ交代に多いに疑問が残るが、四藤前社長の説明によると、来年春に阪急阪神ホールディングスグループで不動産事業の中核会社が設立されることとなり、不動産事業の経験者である四藤氏が、そこに異動するため、わずか2年での退任となったという。

 つまりタイガースの強化タイムテーブルなど頭にない電鉄本社の都合。阪神電鉄の不動産部門と阪急電鉄の不動産部門が合体するにあたり、阪神電鉄側が、それに備え経営体制を整えたというのが、この時期に異例のトップ交代が行われた主な理由だ。

 電鉄都合の人事でタイガースの視点から見ると「なんでこの時期に?」「なんでチームが2位になって四藤社長が2年で退任?」とは思うが、今回の異動で、ここ数年、機能していなかったフロントの編成部門を動かしたことには意義がある。

「掛布2軍監督の退任問題」で浮き彫りになったが、フロントの責任者が1、2軍の意見調整をできず現場とのコミュニケーションが不足していた。
 
 金本体制に入ってからドリス、マテオの両外国人投手は成功したが、現場が求めていた“大砲”に関しては、2年続けて失敗。昨年のヘイグ、今年のキャンベル、シーズン途中に獲得したロジャースと、いずれも期待通りの戦力とはならず、フロントは現場をサポートできなかった。

 また内野の層が薄く、故障者が出ると2軍の試合を満足に進めることさえ難しくなるなど、ポジションごとの長期的な編成ビジョンが描かれておらず、チームの戦力バランスも崩れていて、金本監督が推し進める「超変革」の土台となる戦力編成もまだできていない。

 前任者が、各編成の責任者を個別に呼び出して、会議、会議を繰り返す、お役所の縦割り行政のようなことが、日常的に行われていたため、各編成部門のスペシャリストの能力が存分に発揮できず、組織として膠着状態になってしまっていた。外国人野手に関する補強の失敗も、この組織のいびつさと無縁ではなかった。

 昨季の糸井のFA補強に代表されるように、編成についても金本監督に頼りっきりで、何よりチームの将来デザインを描く能力のある人物もいなかった。それらのフロントの問題点を考えれば、「チーム改革はフロントから」と、電鉄のトップグループが考えてトップ、ナンバー2と、まとめて総入れ替えしたことは評価されるべきだろう。

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