毎晩羊が牧草地から帰ってくると井戸から水を汲んで与える=シリンゴル盟・シローンフブートチャガン・ホショー(2012年3月撮影)

 日本の3倍という広大な面積を占める内モンゴル自治区。同じモンゴル民族のモンゴル国は独立国家ですが、内モンゴル自治区は中国の統治下に置かれています。近年目覚しい経済発展を遂げた一方で、遊牧民の生活や独自の文化、風土が失われてきました。

 内モンゴル出身で日本在住の写真家、アラタンホヤガさんはそうした故郷の姿を記録するためシャッターを切り続けています。アラタンホヤガさんの写真と文章で紹介していきます。

【写真特集】故郷内モンゴル 消えゆく遊牧文化を撮る―アラタンホヤガ第5回

毎朝羊の群れが牧草地に行く際に、健康状況を確認する=シリンゴル盟・オラゲ開発区(2014年11月撮影)

 モンゴルの秋といえば、日本と同様に収穫の秋である。遊牧民は春に生まれた仔家畜を売り、現金収入を得る大切な季節で、この秋の家畜の買い取り価格はとても重要である。

 近年、中国において、物価が年々上がっているのに対して、家畜の値段はどんどん落ち、遊牧民の経済を打撃している。

 遊牧民は生産者ではあるが、家畜の売買は長年、漢族の商人に頼るしかなかった。市場では羊肉1キロが1000円以上で売られているのに対し、彼ら遊牧民から買いつける際は、一番安い時には1キロ300円以下で取り引きが行われたこともあった。(つづく)

※この記事はTHE PAGEの写真家・アラタンホヤガさんの「【写真特集】故郷内モンゴル 消えゆく遊牧文化を撮るーアラタンホヤガ第5回」の一部を抜粋しました。

内モンゴル自治区の地図


アラタンホヤガ(ALATENGHUYIGA)
1977年 内モンゴル生まれ
2001年 来日
2013年 日本写真芸術専門学校卒業
国内では『草原に生きるー内モンゴル・遊牧民の今日』、『遊牧民の肖像』と題した個展や写真雑誌で活動。中国少数民族写真家受賞作品展など中国でも作品を発表している。
主な受賞:2013年度三木淳賞奨励賞、同フォトプレミオ入賞、2015年第1回中国少数民族写真家賞入賞、2017年第2回中国少数民族写真家賞入賞など。

この記事が気に入ったら「いいね!」をお願いします