ジェローム・パウエル次期FRB議長(写真:ロイター/アフロ)

 11月2日にトランプ大統領は、現在連邦準備制度理事会(FRB)理事を務めるジェローム・パウエル氏を次期FRB議長に指名しました。今後、上院での承認を経て2018年2月で任期満了となるイエレン氏からバトンを引き継ぐ見込みです。

 共和党寄りとされるパウエル氏はオバマ政権時の2012年にFRB理事に任命され、今年4月からは金融規制を担当、現政権が進めようとしている金融規制緩和に前向きな見解を示してきました。弁護士出身のパウエル氏は、経済学博士号を持たないものの、投資ファンドなどでウォール街の経験も長く、それがムニューシン財務長官の推薦につながり、今回の指名に至ったとみられます。なお、経済学博士を取得していないFRB議長はボルカー氏以来、約40年ぶりです。

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政策は継続の見込み 残る3つの空席、FRB理事の指名はどうなる?

 パウエル新議長(仮)の政策スタンスはバーナンキ、イエレン体制の継続、すなわち緩やかな金融緩和の解除が想定されます。パウエル氏が理事在任中、連邦公開市場委員会(FOMC)の決定に賛成票を投じ続けてきた経緯を踏まえれば、そう考えるのが自然です。ホワイトハウス側もそうした金融政策のスタンスを念頭にパウエル氏を指名したとみられ、このことは2018年の3回程度の利上げ計画に大きな変更が生じないことを意味していると考えられます。失業率の低下にもかかわらず、賃金が上昇しないという「謎」に直面する下、インフレ率の低下を懸念する向きは利上げ停止を主張し、景気の過熱やバブルの発生を懸念する向きは利上げペース加速を主張していますが、パウエル氏はそのどちらにも傾くことなく、これまでどおり緩やかな利上げを選択すると思われます。

 なお、FRB理事のポジションには残り3名の空席があります(表参照)。そこに10月で退任したフィッシャー副議長の後任としてタカ派のテーラー氏(スタンフォード大)が指名される可能性は意識しておきたいところです。トランプ大統領が好む「低金利政策論者」ではないものの、ペンス副大統領の推薦を受け、議長候補として“最後の2人”まで残った経緯を踏まえると、ホワイトハウス側の信頼も厚いとみられます。仮にテーラー氏が副議長に就任した場合、 連邦準備制度(FED)中枢部のコンセンサスはややタカ派へ傾斜することが想定されます。その場合、株式市場の下落には注意が必要です。

FRB理事の政策スタンス

(第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一)

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