ソフトバンクの日本一を広岡氏はどう総括したか(写真はヤフオクのコインロッカー)

 日本シリーズはソフトバンクが横浜DeNAに4勝2敗で勝利、2年ぶり8度目の日本一となり工藤監督がヤフオクドームで宙に舞った。

 クライマックスシリーズを勝ち抜いたパ・リーグの覇者と、レギュラーシーズン3位からの“下克上”で大舞台に駒を進めた両チームの対戦は、ある意味「負けられないソフトバンク」と「開き直った横浜DeNA」の心理戦となった。

 2年ぶりの日本一監督となった工藤監督は、優勝の翌日、スポーツ新聞に掲載した手記に「広岡さんの電話で救われた」と記した。「好きにやれ」とのアドバイスで気持ちがぶれなかったという。広岡さんとは、工藤監督が、西武入団時の監督で西武黄金時代に「勝つ野球」を叩き込まれた恩師にあたる。

 その元西武監督の広岡達朗氏は、「工藤が連敗したときは心配したが、レギュラーシーズンを優勝したチームが選手権を取りホッとした、というのが正直な感想だ」と、今回の日本シリーズを総括した。

「レギュラーシーズンで2位の西武に13.5差をつけて優勝したソフトバンクが、逆にセ・リーグのペナントレースで14.5差を広島につけられて負けた横浜DeNAに敗れるようなことが起きれば、日本選手権の存在意義が揺るがされていた。ある意味、プロ野球界、そのものが危うくなるところだった。繰り返して言うが、私はクライマックスシリーズには反対している。もし、そういうことが起きれば、143試合も戦ってペナントレースを優勝する価値も、歴史のある日本選手権の価値も、根底から覆ってしまう。だから、私はソフトバンクが勝ってホッとしたのだ」

 ソフトバンクは、ホームでの開幕戦を10-1で圧勝。力の差を見せつけて3連勝した。2005年の阪神―千葉ロッテの日本シリーズ以来の4タテを決めるかと思われた。だが、第4戦で横浜DeNAのルーキー左腕、濱口に8回一死までノーノーの快投で封じこまれ、第5戦は筒香に1発を含む2安打3打点されるなどして4-5でシーソーゲームを落とした。勢いは、完全に横浜DeNAで、しかもホームに帰った第6戦も9回一死まで1点差で負けていた。このゲームも左腕、今永のチェンジアップを打てず、ついに、このシリーズでは、「左腕のチェンジアップ」という苦手意識を払拭できないままであった。

「両チームには力の差があった。最後は横浜DeNAの自滅。そこがペナントレース3位のチームということ」。第6戦には、試合の行方を決める守備の乱れが2つあった。

 8回一死三塁で、柳田をボテボテのピッチャーゴロに打ち取り、しかも、三塁走者が中途半端なスタートを切る走塁ミスを犯したのに処理した砂田は、その走者を挟殺することをせずに、みすみす1点を献上した。また延長11回裏にも、三塁の宮崎が一塁への送球ミスで併殺を逃してサヨナラ打につなげてしまっていた。

 西武時代に走攻守の基礎を徹底、相手の隙をつく野球、嫌がる野球で黄金期を作った広岡氏にしてみれば、ラミレス監督のやった隙だらけの野球は評価できなかったのだろう。