2017年ロジャーズ・カップの錦織圭(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

男子テニスの2017年シーズンは12日開幕のATPワールドツアー・ファイナルズで幕を閉じるが、今年は近年の大会模様と大きく異なりそうだ。今シーズンは錦織圭をはじめ、常連組だったノバク・ジョコビッチ、アンディ・マリー、ミロシュ・ラオニッチらのトップ選手が怪我で軒並みランキング上位10位から陥落して出場資格を逃した。錦織圭は最新ランキングで22位まで順位を落としている。

過酷なテニスツアーの状況を踏まえ、テニス・ワールド・マガジン誌は、「ナダル、フェデラーが全員を考えさせた」との記事を発信。「今年のATPツアーは怪我が深刻な影響を及ぼした。トップ30選手のうち10人が、シーズン最後となるパリでのマスターズ大会を欠場。ラファエル・ナダルも準々決勝で棄権を余儀なくされ、試合を続けることができなかった」と現状を伝え、激しい試合を繰り返し、厳しい日程でツアーをまわる選手たちの体調管理の難しさが顕在化したシーズンを振り返った。

インターナショナル・ビジネス・タイムズ紙は、英国女子テニスの元トップ選手で、現在はテレビ解説を務めるアナベル・クラフトさんによる、「長年競い合ってきたフェデラー、ナダルのライバル2人が2016年シーズン早くに休養を取り、怪我からの回復を図ったことが、今年、実を結んだ」との分析を紹介した。

2016年の休養からツアーに復帰したフェデラー、ナダルは今季出色の活躍を見せた。フェデラーは全豪オープン、8回目となるウィンブルドン優勝を含めてグランドスラムの2大会を含む7つの大会を制覇。ナダルも、また復活を果たし、10度目の優勝を果たした全仏オープンで、全米オープンのグラウンドスラム2大会を含む6つの大会を制した。

クラフトさんは、「フェデラーとナダルの今シーズンの活躍の理由は、去年の休養があったから」と見ている。「この2人が、今季故障のないシーズンを過ごす一方で、ノバク・ジョコビッチ、アンディ・マレー、スタン・ワウリンカ、錦織圭といった他のスター選手が故障に苦しみ休養を余儀なくされている」と記した。

フェデラー、ナダル、ジョコビッチ、マレーのいわゆる“ビッグ4”の中で今年のATPワールドツアー・ファイナルズに出場できるのは、フェデラー、ナダルの2人のみ。2014年、2016年に準決勝進出を果たした錦織を含めた常連組も不出場となる。アレクサンダー・ズベレフ、グリゴール・ディミトロフ、ダビド・ゴフィン、ジャック・ソックの4選手が初出場。ドミニク・ティエム、マリン・チリッチがこれに加わる。

大会のドローは8日に発表され、デイリー・エクスプレス紙によると、優勝候補はランキング1位のナダル、2位のフェデラーとしているが、ここにきて、そのナダルの出場にも赤信号が灯っている。
前述したように今季劇的な復活を果たしたナダルだが、過酷なツアーの終盤戦では、やはり怪我に見舞われた。先週のパリ・マスターズで、過去数年悩まされてきた膝の負傷を再発、準々決勝で棄権し、ATPワールドツアーファイナルズへの出場が危ぶまれているのだ。

デイリー・エクスプレス紙は、「ラファエル・ナダル、ATPワールドツアー・ファイナルズへ暗雲、『リスクに見合わない』と医師の声」との記事を発信。状態が完全に戻らない限りは、大会に出場すべきでないという、ナダルの専属医師の声を伝えた。
記事の中で、アンジェル・ルイズ・コートロー医師は、「楽観も必要だが、尋常でないシーズンの最後に差し掛かっているという現実も見るべき」と語っている。
ナダルは、今年77試合を戦い、この数字が、怪我の原因となっていると説明する。同医師は、「1位になるために多くの試合に勝たねばならないことは全員が知るところ。試合の過密が常に悩みとなる」と続けている。
 手首の怪我で長期離脱を強いられた錦織を含め、過酷なツアーで勝ち残るためには、試合出場数を含めたコンディションのキープが、重要なテーマになってきそうだ。

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