人工衛星から地球の大気圏に小さな粒を落として流れ星を発生させる「人工流れ星」の事業化に、国内ベンチャー企業のALE(東京都港区)が取り組んでいます。同社社長の岡島礼奈さん(38)に、この事業の狙いについて話を聞きました。

「人工流れ星」ってどうやって作るの? 2019年初夏にも広島上空で実施へ

「人工流れ星で見たことのない景色作りたい」と話す岡島玲奈社長

── 人工流れ星はビジネスとしてどのようにして展開する考えですか?

岡島:人工流れ星事業では、『一粒何円』という売り方を考えていません。人工流れ星の鑑賞を組み込んだイベントとしての展開を考えています。人工流れ星を見るイベントが、たとえばハロウィンのような人気のあるお祭りになれば、イベントを行う地域の人びとに楽しんでもらえますし、宿泊客も増えるなど街の中が活気づくでしょう。このイベントに魅力を感じる方々にスポンサーになってもらって一緒に地域活性化を図っていきたいですし、人工流れ星を見る文化も作っていきたいですね。

── 宇宙を使った科学エンターテインメントへの挑戦であるとともに、科学の発展への貢献もめざすそうですね

岡島:宇宙から大気圏に物を落として燃焼させる、という行為は壮大な科学実験ともなります。人工流れ星が光を放つ高層大気については、これまで大気圏の中でも謎に包まれた場所の1つとされています。人工流れ星を通じて高層大気の挙動を観測することによって、物理学の発展に貢献できるのではないかと考えています。宇宙船が安全に帰還するための大気圏への再突入に関わる技術や、運用を終えた人工衛星やロケットの破片などの宇宙ゴミである「スペースデブリ」を大気圏で燃やして消滅させる技術などの進展にも貢献できるようなデータも取れると考えています。

人工流れ星のイメージ(提供:ALE)

── 人工流れ星の初お披露目は2019年初夏を予定していますが、舞台に広島県の瀬戸内地域を選んだ理由は?

岡島:全国でも屈指の晴天率の高い地域であるほか、海や山のさまざまな景色も楽しめて歴史的な名所もあるなど、いろんな楽しみ方ができることに目をつけて、選びました。また、広島は、世界的に名前が知られている日本の地方都市であり、ここでイベントを実施すれば、世界各国へのアピール効果も高いだろうと見込んでいます。

── ネット上では、人工流れ星について「素敵」と評価する声がある一方、「自然だから神秘的なのに」などネガティブな反応もあります

岡島:天然には天然の良さが、人工なら人工の良さがあり、住み分けは可能だと思っています。たとえば、5つ同時に出現する流れ星は天然ではなかなか見られません。今まで見たことのない景色を作りたいという思いがあるのです。

── 人工流れ星に対する期待感を教えてください
岡島:人工衛星から粒を放出して流れ星にするのは世界初であり、まだ見たことのない景色ですので、早く見たいです。

(取材・文:具志堅浩二)

岡島礼奈(おかじま・れな)1979年2月19日生まれ。2003年東京大学理学部天文学部卒業、2008年同大学大学院理学系研究科天文学専攻博士課程修了。同年ゴールドマン・サックス証券入社。2009年新興国ビジネスコンサルティング会社を設立、取締役に。2011年ALE設立、現在代表取締役社長に就任。

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