家電量販店最大手のヤマダ電機がEV(電気自動車)ビジネスに参入します。EVは構造が簡単で参入障壁が低いという特徴があり、多くの新規参入が予想されています。近い将来、様々な企業が自社ブランドの電気自動車を販売する時代がやってくるかもしれません。

FOMMの小型電気自動車「フォム・コンセプトワン」(写真:ロイター/アフロ)

 ヤマダ電機は10月31日、EVの開発を手がける株式会社FOMMと資本提携し、同社が開発する4人乗りのEVをヤマダ電機の店舗やネット通販で販売すると発表しました。時期は2020年までをメドとしており、価格は1台100万円以下となる見通しです。FOMMはスズキ出身の技術者が設立したベンチャー企業で、タイで水に浮くEVなどの開発を進めています。ヤマダ電機向けのEVはやはり水に浮くタイプとのことですが、タイで開発している製品とは別になるそうです。

 電気自動車は内燃機関の自動車と比較して部品点数が圧倒的に少なく、しかも部品のモジュール化が進んでいるため、他業種からの参入が容易という特徴があります。ヤマダ電機は家電量販店の最大手ですが、郊外の店舗が多く、人口減少の影響を大きく受ける可能性が高いと言われています。同社は人口減少社会を見据え、家電の販売から、住宅関連の販売にシフトしており、住宅メーカーや住設機器メーカーなどの買収などを進めてきました。今年の6月には、住宅のリフォームやホームファッション、インテリアなどを総合的に提供する新型店舗「インテリアリフォームYAMADA」をオープンさせており、今後は「住」を中心とした店舗を全国展開していく予定です。

 ヤマダ電機では今後、住宅関連商品の販売と合わせてEVの販売も進めていくものと思われます。スマートハウス(IT化された住宅)の購入を検討する顧客層はEVの購入にも積極的なはずですから、同社はひょっとするとEVの大きな販売ルートとなるかもしれません。

 参入が容易というEVの特質を考えた場合、EV事業に進出する企業はさらに増えてくるでしょう。そうなってくると既存の自動車メーカーにとっては大きな脅威です。価格が安く、著名なブランドを冠した他業種のEVが大量に市場に出回った場合、既存の自動車メーカーが自社製品を差別化するのは容易ではありません。

 現在、EVはちょっとしたブームとなっていますが、すぐにすべてのクルマがEVになってしまうわけではありません。しかしながら、新車販売の数%がEVになっただけでも、自動車メーカーの国内生産拠点にとっては大打撃です。EV化がもたらす影響を軽視してはならないでしょう。

(The Capital Tribune Japan)