中国で普及しているITサービスが相次いで日本に進出しています。中国は独特の市場構造から、日本では考えられないスピードでITサービスが普及するという特殊な事情があります。もしかすると、日本は「中国発ITサービス」一色となってしまうかもしれません。

中国で普及しているITサービスが続々と日本市場に参入

滴滴の柳青(ジーン・リウ)社長

 タクシー配車サービスとライドシェアの大手企業である中国の滴滴が、国内タクシー大手の第一交通と組み来年にも東京都内で配車サービスを開始します。滴滴の配車アプリの登録者数は約4億4000万人。配車アプリではもっとも有名な米ウーバーテクノロジーズの中国事業も買収しており、同社は世界でも最大級の事業者となっています。

 滴滴は本国ではウーバーと同様、タクシーではない車両が配車されるサービスですが、日本ではタクシー以外の車両が有料サービスを提供することは禁止されています。このため滴滴も日本国内ではタクシーの配車に限定します。今のところ主な利用者は中国人観光客を想定していますが、滴滴はソフトバンクグループが出資しています。場合によっては、日本人向けにもサービス拡充する可能性も十分にあるでしょう。

 中国では配車サービスに加えてスマホを使った電子決済も驚異的なレベルで普及が進んでいます。都市部では現金で決済する光景はほぼ消滅し、屋台での買い物もアプリで済ませるのが当たり前となっています。大手IT企業のアリババが手がける電子決済サービスであるアリペイも滴滴と同じく2018年に日本でサービスを開始します。このほか、民泊最大手の途家や自転車シェア最大手のモバイクなど、中国で普及しているITサービスが続々と日本市場に参入しています。

なぜ中国のITは強いのか

中国モバイル決済の「ウィーチャット・ペイ」と「アリペイ」(写真:ロイター/アフロ)

 中国は公共交通機関の整備が遅れていたり、クレジットカードが普及していないといった事情から、先進国と比較して各種インフラが貧弱といわれてきました。しかし低コストでの運用が可能なITインフラの場合、こうした中国の事情は逆に有利に働いているようです。競合となる既存のインフラがないため、スマホの普及に合わせて、各種ITサービスがあっという間に普及。皮肉にもITサービスでは世界トップレベルの国となってしまいました。

 米国はもともとIT化が活発な国ですから、中国の影響を直接受ける可能性は低いですが、問題は日本です。日本は政府の規制が多いことに加え、もともとIT化に積極的ではなく、新しい取り組みに対しては後ろ向きな社会です。企業も賛否両論となるような新しいサービスに取り組もうとはしません。こうした状況で、中国勢が物量をバックに進出攻勢をかけてきた場合、一気に中国企業に主導権を奪われてしまう可能性も否定できません。

(The Capital Tribune Japan)

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