大リーグ機構とNPB(日本野球機構)の間で失効していたFA資格を持たない日本人プレーヤーのメジャー移籍に関する新ポスティングシステムについて「大谷翔平への特例として暫定的な合意に達した」との一報がニューヨークポスト紙で報じられた。

 執筆したジョエル・シャーマン記者は「大谷の今オフでの大リーグ移籍への障壁が、また1つ取り除かれた」と伝えた。 記事は大谷翔平の移籍で直面するポスティングシステムについて「10月31日に期限切れとなった旧協定事項では、大リーグ球団は、日本人選手に対し最大2000万ドル(約22億円)の入札金を支払い交渉権を獲得する必要があった。入札した全球団が交渉権を持ち、選手と契約を結んだチームが日本球団に費用を支払う形だった」と説明。 旧システムであれば、 「大谷の場合、ヤンキースなど多くのチームが最大2000万ドル(約22億円)を入札するだろう」とした。

 だが、海外選手の契約に関する労務協定が改正され“25歳ルール”が日本の選手に対しても適用されることになり、「23歳の大谷は、その国際契約条項に当てはまり、マイナー契約しかできない。大谷へ353万5000ドル(約3億9000万円)をオファーできるレンジャースから最低1万ドル(約110万円)以上を提示できるあらゆる球団が交渉可能となる」と、大谷の契約が大きく制限されることになった。

 同記事では、各球団の例としてプール金の使用金額に応じて「エース、強打者を強く求めるヤンキースが325万ドル(約3億6000万円)を使うことができ、メッツは10万5000ドル(約1億2000万円)。カブス、ドジャース、ジャイアンツといった球団が使える額は30万ドル(約3300万円)」とまで伝えた。

 だが、このことにより昨年までのポスティングシステムが更新されれば、大谷よりも所属球団である日ハムの方が大きな金額を手にすることとなり、大リーグの選手会は、この点を問題視していた。

「選手会は、旧ポスティング・システムがもう1年継続することによって、大谷のように所属先の球団が選手よりも金額的に多くの恩恵を受ける事態を苦慮している」

 大リーグの選手会は、労使協定にのっとり、大リーグと日本、キューバ、メキシコといったリーグとの移籍協定を拒否できることになっている。

 そのためここまで日米で進められてきた新ポスティングシステムの協議は、去年までの最大約22億円支払いの形を撤廃し、「所属している日本チームに対して契約した大リーグのチームが、その契約金の15%~20%を支払うこと」で合意に向かっていた。

 だが、「大谷の所属先の日本ハムは、大谷に限っては、旧システムを適用する特例を求めて反対を表明していた。協議が進んでいた新システムが採用されれば、例えばドジャースが30万ドル(約3300万円)で大谷と契約した場合、日ハムに支払われる金額は6万ドル(約660万円)に過ぎず大谷の価値に見合わない」との理由で、協議は、暗礁の乗り上げて合意に達していなかった。

 その状況下において大谷が代理人を決めた。日米の大物選手を抱える大手事務所の「CAAスポーツ」のネズ・バレロ氏と契約したことで事態が急変したという。

「大谷が、今週初めに選手会が認定する代理人と契約したことで、選手会側は、不安点やすべてのオプションに関する理解が大谷にも伝わるとの認識を強めている」

 “大谷特例”で、これまで通り、最高約22億円の入札額を所属球団が設定できるポスティングのルールを1年延長させるというプランで協議が前進したというのだ。

 ただ、記事では、交渉に係わる人物の声も取り上げ、あくまでも“暫定合意”で決定したものは何もなく、合意事項が修正される可能性があるとしている。また米国時間の8日、午後早くの段階で、選手会に対して、こうした合意は伝えられておらず最終決定には至っていない。

 同記事では、「大谷の暫定合意へ残る壁は1つ」と、選手会の合意が最後の問題だと示唆した。

 「大谷は25歳までけがなく過ごせば2億ドル(約220億円)以上の契約を勝ち取ることができた。だが、大谷は、2年待つことなく大リーグ移籍を希望したため契約金が厳しく制限されてしまった。このことで、金額ではなく各球団は、いかに大谷にとってベストな球団かをアピールすることになった。真のフリーエージェント採用のあり方が問われている」
 日ハム、大谷自身だけでなく全米がポスティング協定の最終合意を待ちわびている。

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