三菱東京UFJ銀行が海外展開を加速させています。来年度以降の決算では邦銀として初めて、海外で稼ぐ利益が全体の半分を超える見通しです。かつての製造業と同様、今度は金融業も空洞化してしまうのでしょうか。

写真:アフロ

 日本のメガバンクは現在、かなり厳しい状況に置かれています。量的緩和策による低金利が続き、貸出金利が低下したことで利鞘を稼げなくなっています。各行は手数料収入の比重を高めてきましたが、手数料収入は景気の動向に大きく左右されます。日本経済は、今年に入って上向いているもののまだまだ不景気ですから、手数料収入の増加も期待できません。しかも、これからの10年はいよいよ人口の減少が本格化しますから、一部地域ではメガバンクとして営業することが難しくなるとの予想もあります。

 各行が収益を確保する最後の手段として力を入れているのが、コスト削減と海外進出です。このところメガバンク各行が自動化による業務量の削減や店舗網の縮小などリストラ策を相次いで検討しています。

 一連の改革で三菱UFJフィナンシャル・グループは約1万人、三井住友フィナンシャルグループは約4000人、みずほフィナンシャルグループでは約2万人分の業務について自動化などの措置で削減を進めていきます。余剰人員は付加価値の高い業務にシフトするとしていますが、全員が異動できるわけではありませんから、これは事実上の人減らしと受け止められています。

 しかし人を減らしてコストを削減しただけでは売上高を増やすことはできません。この部分における最後の切り札となるのが海外展開です。もともと三菱UFJフィナンシャル・グループは、米国のユニオンバンクを買収したり、タイのアユタヤ銀行を傘下に収めるなど積極的に海外に進出したりしてきました。同グループの中核銀行である三菱東京UFJ銀行の業務粗利益の約45%はすでに海外から得られています。

 今回、出資が検討されているのはインドネシアのダナモン銀行で、当初は株式の4割程度を取得。最終的には子会社化を目指すと報道されています。

 かつて日本の製造業は、国内市場に見切りを付け積極的に海外に生産設備を移転しました。当時は、国内市場の空洞化を懸念する声が大きく、実際、一部の地域では工場がなくなったことで雇用が失われました。

 しかし現地法人から得られる配当収入が大幅に増加したことで、日本の海外収支は黒字が拡大しており、海外の利益が国内に還流されるようになっています。海外の成長市場の利益をうまく取り込むことは、資金力のある先進国ならではの稼ぎ方です。金融業の世界でも製造業と同じことが起ころうとしているのかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

この記事が気に入ったら「いいね!」をお願いします