政府が年度内にも副業に関するガイドラインを策定し、企業に対して副業を推進するよう働きかけるとの報道が出ています。企業は副業に対して慎重な姿勢でしたが、政府が動き出すことで、企業内の働き方も大きく変わるかもしれません。

政府が上からの改革で副業を推進

写真:アフロ

 現在、厚生労働省では副業やテレワークなどの実施について、有識者を集めた検討会を実施しています。政府が策定した未来投資戦略や経済財政運営と改革の基本方針(いわゆる骨太の方針)にも副業や兼業に関する環境整備が盛り込まれており、政府内部では徐々にコンセンサスが成立しつつある状況です。厚労省では検討会の議論を踏まえたガイドラインを策定し、企業に対して実施を呼びかけていく方針です。

 本来、どのような働き方がよいのかについては、企業と労働者が自主的に決めていくべきものですが、多くの企業では、従来から続く雇用環境の維持に固執しており、新しい労働環境を自主的に整備するところは少数派です。政府の調査では副業を認めていない企業は85.3%に達しているほか、推進していないを含めるとほぼ100%という結果でした。このため政府が上からの改革を促すという状況になったわけです。

副業する人は高所得者と低所得者に二極分化

 現時点において副業をしている人は年収1000万円以上の高所得者か年収200万円未満の低所得者に二極分化しています。1000万円以上の人は自らのスキルアップやさらなる年収アップのために、低所得者の人は主に収入アップを目的に副業をしていると考えられます。

 一方、中間所得者の副業割合は低くなっています。ボリュームゾーンである中間層の副業を推奨することで、労働者のキャリア選択の幅を広げたり、あらたなスキルを得ることができます。一方、企業にとっても人材育成や新しいノウハウの獲得といった効果があるといわれています。

副業をしている人は長時間労働の割合が高い

 もっともこうした副業は、無理のない範囲で進めないと逆効果になる可能性もあります。今のところ副業をしている人の週平均労働時間は就業者全体の平均とほとんど同じですが、副業をしている人の方が、長時間労働になっている割合が高いとの結果が出ています。本格的に副業が進んだ場合には、長時間労働による弊害も出てくるかもしれません。

 これまで日本企業の労働環境はあまりにも硬直的でしたから、副業を政府が推進することは労働者に多くのメリットをもたらすと考えられます。20年後には仕事の選び方はかなり自由になっている可能性が高いでしょう。しかし、副業が進めば進むほど、自らの生活時間やキャリアを自らの意思で決めるという自主性が必要となってきます。これからの労働者はもっと自立した存在になる必要がありそうです。

(The Capital Tribune Japan)

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