丘みどり(撮影:志和浩司)

 大晦日の第68回NHK紅白歌合戦に、演歌歌手・丘みどりの初出場が決まった。16日に行われた会見には初出場歌手から9組が登壇したが、ただ一人和装で臨んだ丘の美貌と艶やかな紅の着物姿はひときわ目を引いた。少し前まではミニスカートやドレスなどセクシーな洋装が基本だった丘が、演歌歌手の王道ともいえる悲願の着物姿でこの桧舞台に立つまで、長い年月がかかった。

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祖母の影響で演歌好きだった少女時代

丘みどり(撮影:志和浩司)

 兵庫県姫路市の出身で、現在33歳になる。昨年、上京してまもない丘にインタビューする機会があり、歌との出逢いについて聞いた。幼いころは内気だったと振り返っていた。母親は人見知りの激しかった丘を心配し、人前に出ることをやらせようと子役スクールや民謡教室に通わせたそうだ。山に囲まれた田舎育ち、田んぼでおたまじゃくしをとったり、あゆ釣りに行ったり、川で泳いで遊んだ。しかし歌には積極的だったようで、演歌好きな祖母の影響もあり、当時のホームビデオを見るとテレビの横で演歌を歌っている自分が映っているのだとか。安室奈美恵など、まわりの友達が聴いているような曲も聴いてはいたものの、初めて歌ったのは島倉千代子の「人生いろいろ」。演歌を歌うために生まれてきたような感がある。

 演歌歌手になりたいという気持ちが本格的に芽生えたのは、幼稚園のころ。地元のホールで鳥羽一郎のコンサートがあった。祖母に連れて行ってもらったそうだが、初めて生バンドの音を聴き、一人でステージの真ん中に立って歌う演歌歌手がものすごくかっこよく見えた。おねだりをして、ロビーで「兄弟船」のCDを買ってもらった。
 

芸能界デビューは大阪、5人組のアイドルとして でもやはり演歌が歌いたい

護国寺で行ったヒット祈願イベントで歌う丘みどり(2016年6月撮影:志和浩司)

 ところが、高校生のころ芸能界に入ったときは大阪で5人組のアイドルとしてデビュー。歌を歌うよりバラエティー色が強く、海に投げ飛ばされたり、バンジージャンプをしたり。それはそれで楽しくもあったが、どうしても演歌歌手の夢を捨て切れず、事務所をやめて音楽の専門学校に通い、ボイストレーニングや歌の基礎を学んだ。そんなある日、関西のカラオケ番組で中村美律子の「河内おとこ節」を歌ったのを、たまたま演歌事務所の社長が見ていて声をかけられ、道がひらけた。

 レッスンは厳しかった。演歌は好きで聴いてはいたものの、ちゃんと習ったのは民謡だけ。感情を込めない民謡と、感情ありきの演歌のギャップに最初は戸惑ったが、これでようやく演歌歌手になれるんだという喜びのほうが大きかった。