[写真]二大政党制を目指した選挙制度は曲がり角に来ているのだろうか(Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 先月の衆院選では、選挙結果に対してだけではなく、選挙制度を含めて政治体制そのものに関する論考も目立ちました。1990年代に導入された小選挙区制は、政権交代可能な二大政党制を目指したものでした。それがここへ来て、懐疑的な視線が投げかけられ始めています。この現状を、私たちはどう受け止めるべきか。慶應義塾大学SFC研究所の上席所員で起業家の岩田崇氏に寄稿してもらいました。

【写真】衆院選「大山鳴動してネズミ一匹」見透かされた希望の曖昧さ

政権選択可能な政治を目指した90年代の改革

 今回の選挙は、一票の格差問題について定数の削減と合区制の導入で、一時的なものながらも一応の対処が行われており、18歳選挙権が衆院選で初めて適応されたこともあり、より幅広い世代の民意を反映したという意味で、政権の正統性において以前の選挙よりも確固とした意味を持つものでした。

 選挙後の記事の中には、内閣不支持率の方が支持よりも高かったのに、自民が単独過半数、自公与党で三分の二の議席を得たことについて疑問を示すものや、自公以外への票を合わせると与党を上回るといったものがありました。これらの記事は情報としては意味がありますが、社会の意思形成の手段である選挙を論ずるものとしては、あまり意味がありません。

 前者については、内閣不支持率よりも野党への支持が低いことが現れた数字ですし、野党への票といっても、一緒にならないという意思があって政党が分かれているので、論をなし得ません。

 それでも、衆議院の民進党の“解体”と出来たばかりの希望の党への合流の背景には、二大政党制への新たな受け皿をつくるといった考えもあったようですが、政策の中身がなくて急速に勢いを失ったのはご存知のとおりです。

 一つの可能性として、これまで野党の政治家の中で引き合いに出されていたイタリアでの政党連合「オリーブの木」のような、野党各党の政策が異なっても統一の首相候補を国民に提案することも考えられました。しかし、今回のような一時の劇的な勢いを以てしても実現することはありませんでした。イタリアでの「オリーブの木」も政権を取ることに一時は成功しましたが、結局は瓦解しています。

 もともと現在の衆院選の制度(小選挙区比例代表並立制)は、自民党以外の政権選択ができるようにしようという、確かな考えの基に進められました。20世紀の自民党は派閥システムを内包することで他の政党の追随を許さない勢力を持っていました。そのことに政治学者の多くも危機感を持ち、日本政治をより良くしようという理想を持っていました。

この記事が気に入ったら「いいね!」をお願いします