写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

大リーグの2018年度殿堂入り候補者が発表された翌日、1990年に殿堂入りしているジョー・モーガン氏(74)が全米野球記者協会の投票者あてに「我々はステロイド使用者と確定している選手が殿堂入りする日が来ないことを望んでいる。彼らは(ファンや関係者を)だました。ステロイド使用者はここにいるべきではない」と、禁止薬物使用、或いは疑惑の過去を持つ候補者の殿堂入りに反対する意見書を送った。

現在、米野球殿堂の副会長を務めるモーガン氏のこの行動を全米メディアは、大きな反響をもって報じた。

モーガン氏は、その意見書の中で、「殿堂は特別なもの。聖域であり尊いものだ。野球殿堂に入ることは米国スポーツで最も難しい。時代が変わり、投票基準は緩やかでいいと考えているファンもいるかもしれないが、そう考えてもらいたくない。ステロイド使用者はここには入れない。彼らが行ったことは認められるべきでない。時代を悪い方向へ進めてはならない」と強く主張。

「もしステロイド使用者が殿堂入りすることがあれば、これまでの殿堂入り選手は、その表彰式典や行事でクーパーズタウンを訪れることはないという事態にまで来ている。何人かは同じ舞台に立てないと感じている。ステロイド使用者が殿堂入りすれば殿堂は、分裂し消滅することになる」とまで警告した。

そして「80年以上にわたり殿堂は、野球を懸命に正しくプレーしてきた神聖な殿堂者を讃える場所として見られてきた。これからもこの考えが続くことを願っている」と結んだ。

モーガン氏は、レッズ、アストロズを中心に22年間メジャーでプレー、レッズの黄金期を支えた名二塁手で、連覇したときに2年連続でナ・リーグMVPに選ばれている。通算成績は、打率.271、268本塁打、1133打点、1650得点、689盗塁。

 現地時間20日に元ヤンキースの松井秀喜氏ら33人の候補者が発表されたが、その中にステロイド使用、或いは、使用疑惑の過去を持つ選手が4人いる。

 ESPNのジェリー・クラスニック記者は「モーガン氏の殿堂に関するEメールは、バリー・ボンズ、ロジャー・クレメンス、ゲリー・シェフィールド、マニー・ラミレスの4人に向けられたものだ」と伝えた。通算762本のメジャー最多本塁打記録を持つ元ジャイアンツのバリー・ボンズ、最多7度のサイヤング賞を受賞している“ロケット”ロジャー・クレメンス、数々のタイトルを獲得、レッドソックスなどで活躍して独立リーグの高知でもプレーしたマニー・ラミレス、ヤンキースなどで活躍したゲリー・シェフィールドの4人だ。

 メジャーのドーピング検査で陽性反応を示したのはラミレスだけだが、他の3人も数々の証言や裁判沙汰になるなど、禁止薬物使用の疑惑が問題視されてきた。

 このモーガン氏の主張に対して、さっそく各メディア、記者が記事やツイッターなどで様々な意見を発信しているが、賛否両論。とくに反対意見が目立つ。

「ファンラグスポーツ」の敏腕記者、ジョン・ヘイマン記者は、「モーガン氏の手紙を見たが、彼は果たして、こういう主張のできるだけの立場にあるのだろうか」と反論。「モーガン氏の時代にもグリーニー(興奮剤)を摂取している選手がいた。ステロイド使用の選手と同じだ。現実を見よう」と、暗にすでに殿堂入りしている選手の中にステロイド以外の禁止薬物を使用している選手がいるという矛盾点を突いた。